粒高ラバーは、卓球の中でも向き・不向きがはっきり分かれる用具。
- 自分は本当に粒高ラバーに向いているのだろうか?
- 周りに勧められたけど、本当にこれでいいのだろうか?
そんな疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?
最初から戦型を決めてしまう人もいます。
しかし基本技術を身につけながら、自分の特性や得手不得手を踏まえてプレースタイルを決めていくことが何よりも大切です。
中学で卓球をはじめる場合、団体戦で勝つために「誰か一人は粒高ラバーを使わせる」という判断がされることも少なくありません。
その際、
- 運動神経が鈍そうな子
- 体格的に動きが遅そうな子
といった理由で、粒高ラバーを任されるケースが多くあります。
しかし本当にそれだけで粒高ラバーを選んでもよいのでしょうか。本人はその選択に納得しているのでしょうか。
否定はしませんが、それが全てではありません。
粒高ラバーで力を伸ばす人もいれば、逆に苦しくなって伸び悩む人もいます。
本記事では、異質型の中でも粒高ラバーに向いている人・向いていない人の特徴を整理し、後悔しないための判断材料を紹介します。
粒高ラバーを選ぶかどうか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
粒高ラバーに向いていない人

粒高ラバーは「守備向け」「動けない人向け」と思われがちですが、実際に向いていないのは、パワーを武器に勝負するタイプの選手です。
パワーで押し切る卓球が好きな人

とにかく力強い球を打って、球威で相手を圧倒したいんだ
というパワーヒッタータイプに、粒高ラバーは向いていません。
粒高ラバーは相手の球威を吸収したり、殺したりすることに長けています。
そのため、フルスイングしても、裏ソフトラバーのような爆発的なスピードや重い球を出すことは、物理的に困難です。
自分の力でボールを飛ばす爽快感を求めている人にとって、粒高ラバーの飛ばなさにイライラしてしまうこと間違いなしです。
自分から回転をかけて主導権を握りたい人



強烈なドライブ回転をかけてナンボだろ!
と、回転をかけることに醍醐味を感じている人も、注意が必要です。
粒高ラバーは相手の回転を利用するのは得意ですが、自ら強烈な上回転や下回転を上書きしてかける能力は極めて低い用具です。
自分の回転量で主導権を握るスタイルを目指す場合、粒高ラバーではできることが極端に制限されてしまいます。
打ち合いで勝負を決めたい人
粒高の真骨頂は、相手のタイミングを外したり、ナックルを送ってミスを誘う変化と緩急にあります。
- ラリーのスピードを上げたい
- 真っ向勝負のスピードラリーで打ち勝ちたい
といったスタイルを目指す人にとって、ボールがゆっくりと変化しながら飛んでいく粒高の変化球は、自分のリズムまで狂わせてしまう原因になります。
パワーや破壊力を武器にできる選手は、粒高ラバーには向いていません。むしろ、裏ソフトラバーを使用してこそ伸びる可能性が高いです。
粒高ラバーに向いている人
粒高ラバーは、特定の性格やプレースタイルの人にとって、
格上の選手を翻弄し、主導権を握るための最強のツール
になります。
人と違う戦い方を考えるのが好きな人
卓球は「100mを全速力で走りながらチェスをする競技」だといわれます。
技術のぶつかり合い以上に、頭脳戦と捉えている人に、粒高ラバーは向いています。
粒高ラバーは、
- 相手が嫌がるコース
- 嫌がる変化
- 嫌がるタイミング
を突き詰めるのに適した用具です。
正攻法で勝てないなら、どうやって相手を狂わせるか。
そう考えられる戦略家タイプにとって、これほど面白い用具はありません。
チャンスボールを確実にスマッシュで決めたい人
粒高ラバーの役割は、単に守ることだけではありません。
変化のあるボールで相手のミスを誘い、浮いてきたチャンスボールをスマッシュで仕留める!
この決定打までの流れを作るのが粒高の本質です。
ドライブの引き合いは苦手だけれど、スマッシュを決めるのは得意な人なら、粒高でチャンスを作り出すプレースタイルはピタッとハマります。



このスマッシュが気持ちいいんだよね。
回転の違いや変化を利用するのが好きな人
粒高ラバーは、相手が強烈な回転をかければかけるほど、自分の返球の変化が大きくなります。
この粒高特有の性質に魅力を感じる人は、間違いなく素質があります。
- 相手のドライブを、ぶち切れの下回転で返す
- ナックルを送って、相手のオーバーミスを誘う
このように、相手の力を利用し、合気道のように戦う感覚が好きな人は、粒高がハマります。
ボールの軌道が揺れたり、相手が空振りしたりする様子を楽しめる感覚は、粒高上達の大きな原動力になります。



ある意味、嫌らしい性格かもしれませんけどね。
我慢強く相手のミスを待てる人
3球目や5球目の一発スマッシュで決まることは少なく、ラリーが長くなることもあります。
相手の強打を何度もブロックし、こちらの変化球に相手がしびれを切らしてミスをするまで淡々と、そして粘り強く返球し続けることもあります。
派手なプレーでなくても、最後の一本を相手より多く返せば勝ち
という泥臭い根気強さを持っている人は、粒高選手として高い壁になれます。



いわゆるペン粒の人はこのタイプが多いね。
途中で粒高ラバーに変えてもいいのか


- 今まで裏ソフトを使っていたけど、今から粒に変えても大丈夫なのだろうか
- 途中で変えるのは逃げではないかリスト
と悩む方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言えば、「いつでも変えていいし、合わなかったら戻せばいい」と思っています。ただし、十分な練習期間を取ったうえで判断してください。
粒高に変えてもいいケース
以下のような場合、粒高への変更がブレークスルーになる可能性が高いです。
フィジカルの不安を戦術でカバーしたい
ケガや体力的な理由で、広い範囲を動き回るのが難しくなったものの、前陣でのブロックや巧みなコース取りで勝負したい場合です。
守備を攻撃に転換したい
「相手の強打をただ当てるだけのブロックではなく、粒高で変化をつけて相手を崩し、自分の得意なフォアハンドへつなげたい」
このような明確な戦術的イメージがある人にとって、粒高は有効な選択肢の一つです。
バックハンド技術の幅を広げたい
裏ソフトでのバックドライブが安定せず、ミスが先行して試合に勝てない場合、粒高で変化をつけることで、弱点を強みに変えられる可能性があります。
変える時に注意すべきポイント
粒高に変えてよかったと思えるようになるためには、以下の2点は必ず覚悟しておきましょう。
慣れるまでの期間を甘くみない
粒高ラバーは裏ソフトとは打球感も角度もまったく異なります。
最初の1~2ヶ月は、これまで当たり前にできていたことができなくなり、一時的に勝率が下がることも珍しくありません。
「当てるだけ」の選手にならない
相手のレベルが低いうちは、ラバーの変化だけで勝ててしまうことがあります。
しかしレベルが上がると、粒高ラバーによる変化だけでは通用しません。
- 変化の量をコントロールする
- 回転量はそのままに、回転の向きを変える
といった粒高特有の技術も磨き、攻撃につなげる戦術も同時に身につけていく必要があります。



勝てないから粒高ではなくて、勝つために粒高なんだからね。粒高の性能を活かしてナンボだよ。
これらは粒の特性(形状・硬さなど)だけでなく、ラケットを振る方向やインパクトの仕方によって決まってきます。
粒高ラバーを使うにあたり、これらの技術も習得しなければなりません。
粒高トップ選手が粒高ラバーを選んだきっかけ


粒高ラバー使いのトップ選手たちも、最初から粒高ラバーを選んでいたわけではありません。
どうしても克服できなかった弱点や、自身の特性を活かすための判断として、粒高ラバーを選択しています。
チ・ミンヒョン選手~レシーブを克服するために
チ・ミンヒョン(Minhyung Jee:민형지)選手がバックを粒高ラバーに変更した理由は、レシーブ時の課題にありました。
裏ソフトを使用していた頃は、相手のサーブの回転を読みきれず、レシーブから主導権を握られてしまう場面が少なくなかったとされています。
そこで回転の影響を受けにくい粒高ラバーをバック面に採用したことで、レシーブの安定感が向上しました。
さらに、バックの粒高で相手を崩し、フォアハンドスマッシュで決めるという、自身の長所を活かしたスタイルへと昇華させています。



レシーブが苦手だから粒高、というのは実はとても多い理由なんだよね。
粒高ラバーを貼ることで弱点が補われ、結果として他の長所がより活きるようになった好例と言えるでしょう。


出澤杏佳選手~フォームを活かすために
出澤杏佳選手が、フォア表バック粒という非常に珍しいスタイルになった背景には、指導者の観察眼がありました。
出澤杏佳選手が今のような異質型のプレースタイルになったのは、小学校低学年。卓球を初めて間もない頃です。



打つ時脚が伸びてしまっているから、この子はドライブが打てないだろうなと思って異質にしたの
と、当時のコーチがインタビューで答えています。
その時はラリーがようやく続くようになって楽しくなってきた段階でのラバー変更だったため、ラリーが続かなくなってしまって大泣きだったそうですが、結果的には自身の特性を最大限に活かしたプレースタイルが確立されています。



フォームを直すのではなく、活かす方向で用具を選ぶなんて、目からウロコでした。


まとめ
粒高ラバーは、単なる「守備用の用具」ではありません。
チ・ミンヒョン選手や出澤杏佳選手のように、自分を否定することなく個性を最大限に引き出すための戦略的切り札にもなっていることが、おわかりいただけたでしょうか。
周囲から「どんくさそう」といった消極的な理由で勧められたとしても、それをきっかけに自分の新しい才能が見つかるかも知れません。
大切なのは、用具に自分に合わせるのではなく、自分の個性を爆発させてくれる用具を選ぶことです。



ちなみに私は、人と違ったことをしたくて粒高ラバーを選びました。
結果的に、小柄でスマッシュ好きな私にとって、粒高はとても相性の良い用具でした。

















コメント
コメント一覧 (1件)
僕も一時期ペン粒プレーでした
高校一年生の頃に顧問から持たされたのがきっかけです
理由は至極明確単純に細身でチビで非力だからです(男なのに・・・)
成果は全国出場です
当然相手は男性なので皆ドライブばっかり打ってきます
最初は粒高の球質に慣れていなくても後半戦になればなるほど結局慣れられて負けてしまいます
そのため高校2年生の時点で単純に受けきれないと思って普段の練習とは別にサーブ練習でこっそりスマッシュの練習をしまくってました
やりかたは簡単で一人でピン球を高くバウンドさせて強く打つだけ
皆サーブ練習している横で一人スマッシュ練習しているという
そのスマッシュとプッシュとブロックを活かすため相手をブロックでフォアサイドギリギリに振らさせる当然打ちにくくなりプッシュが出来るそこからフォアハンドでスマッシュ連打、体がしんどくなったら軽打で連打しまくる
そんなことを繰り返したら気が付いたら全国行ってました
周りからは「お前はブロックだけは全国クラス」とか「技術力だけは部内でトップ」とか「お前の卓球は変則的」とか「ドライブ覚えたら鬼に金棒」とか部内で一番ネタに尽きない選手でした