2018年全日本卓球選手権大会ジュニアの部で優勝し、一躍時の人となった出澤杏佳選手。
トップ選手にシェーク裏裏ドライブ型が多い中、表粒という超珍しい両面異質の出澤杏佳選手が優勝したことは、異質使いにとってはこれ以上ない朗報となりました。

粒高は限界があるといわれる中、粒高でも勝てることを示してくれた良い例ですね。
現在、専修大学に在籍しており、インカレでの活躍が期待されています。また、T-リーグの九州アスティーダとも契約している選手です。
出澤杏佳選手の戦績
世界ランキング
2019年6月より、ランキングレコードが付いています。
部門 | ランキング | 最高ランキング | 取得時期 | |
---|---|---|---|---|
シニア | 2022年第50週 | 圏外 | 294 | 2020年2月 |
21歳以下 | 88 | 2020年2月 | ||
ジュニア | 48 | 2020年2月 |
主な戦績
全くのノーシード、ノーマークから一躍シンデレラとなったような印象を受けますが、実際はそんなことはありません。



小学生時代から既に全国レベルの成績を残している実績のある選手だよ。
小学1年生より日立大沼卓球で卓球を始めます。
出澤選手は、卓球をはじめてすぐの小学生のうちから表ソフト&粒高のプレースタイルになりました。出澤選手のフォームを見て異質にしたと、当時のコーチが雑誌のインタビューに答えています。
中学校は卓球の名門四天王寺中学に進学したもののレベルの高さに挫折し、地元に戻っています。(そういう選手はときどき耳にします)
決して順風満帆の卓球人生ではなく、一度は挫折を経験し、自分の卓球を磨き上げて這い上がってきた物語は、非常に好感が持てます。
ここでは、主だった戦績を紹介いたします。
平成24年度全日本卓球選手権大会(カブの部)準優勝
決勝戦で長崎美柚選手(岸田クラブ)に 11-4、11-5、12-10 で敗退し、準優勝しています。
平成26年度全日本卓球選手権大会(ホープスの部)ベスト8
準々決勝で長崎美柚選手に 11-7、15-13、12-14、11-6 で破れ、ベスト8に終わりました。
ホープスナショナルチームの一員として東アジアホープス卓球選手権大会に参加しており、この時日本選手団は団体戦で銀メダルを獲得しています。
2018年全日本卓球選手権大会
ジュニアの部優勝
この大会で優勝し、一気に注目を集めました。
優勝候補と目された長﨑美柚選手や大藤沙月選手たちを下し、優勝に輝きました。
長﨑美柚選手はこの時、



粒高の対策を全然してこなかった
といって、出澤選手の変化に対応できなかたことを試合後インタビューで述べていましたが、過去に何度も対戦して勝っていたのは前述の通り。
決勝戦では、フォアの表ソフトでのスマッシュを嫌がった大藤沙月選手は出澤のバックを攻めますが、出澤選手は冷静に粘り強く対応し、大藤選手のほうがペースを乱されて自滅した場面が多く見られました。
バックがダメならフォアへボールを送ると、フォア面に貼った表ソフトラバーのスマッシュが飛んできます。
スマッシュのミスも少なく、決定力があります。



この決定力は見習いたい。
表ソフトでのスマッシュは裏ソフトでのスマッシュとは球質が違うため、対応しづらかったと思われます。
大藤選手は出澤選手の球質の変化にイライラして、焦っているようにも見て取れました。
シニアの部ベスト16
シニアの部では、優勝した伊藤美誠選手に敗れたものの、シード選手を破ってのベスト16と大健闘をしました。
アジアジュニア&カデット卓球選手権大会 シングルスの部準優勝
ナショナルチームの一員として参加したアジア選手権では、シングルスで準優勝しました。決勝戦では長崎美柚選手との日本人対決となり、敗れてしまいました。



それにしても、長崎選手とはよく当たるね。
準決勝では、中国人選手を粒の変化で翻弄しているのがよく分かります。



準決勝で中国人選手を粒の変化で翻弄しているのがよく分かります。このぐらい粒高を使いこなせるようなレベルに、私はなりたい…(練習しろ、自分)
令和元年度全国高等学校卓球選手権大会
全日本ジュニアで優勝したことから対策が取られるようになり、苦戦する場面が見られるようになります。
ダブルスの部ベスト8
小林 莉歩選手と組み、ベスト8に入賞しています。
準々決勝で正智深谷高校(埼玉)の桑原・川北組に13-11、11-9、11-5で敗れています。
シングルスの部ベスト8
準々決勝で桜丘高校(愛知)の浅井一恵選手に6-11、11-9、16-14、12-10で惜敗しています。
出澤杏佳選手の使用用具
最近は本人の希望で非公開となっています。
使用用具が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。
出澤選手の試合をよく見ると、ときどきラケットを反転させて打っていることが確認できます。



私だったら、今どっちの面で打っているのかわからなくなって、混乱して自滅しそう。
ラケット ニッタク「剛力」
出澤選手が使用しているラケットは、粒高使用者にはすでにおなじみの剛力です。
異質型選手といえば剛力と言えるぐらい、日本の大会における粒高選手の剛力率が高まっているように感じます。私も愛用しています。


フォア面 VICTAS VO>102(2.0mm)
カタログには、攻撃的ハイエナジーテンション表ソフトとあります。
この表現から察するに、球離れが良くて、よく弾むラバーであることがわかります。
おそらく初級者には弾みすぎてコントロールしづらいラバーだと思いますので、扱うにはある程度の技術力が必要となります。
粒の形状は台形で横目なので、回転もある程度かけやすく、安定した球が打てるのではないでしょうか。
出澤選手は、このラバーでブチ切れのサーブを出し、決定力の高いスマッシュをバシバシ打っています。


バック面 VICTAS カールP5V(OX)
攻撃ができる粒高ラバーというのをコンセプトに開発されたラバーらしく、ルールの範囲内で最大の高さと太さを誇ります。そして最大の特徴はその粒の硬さにあります。
この硬い粒でカット性ブロックをしたりする場合は、自分で切りに行かなければなりません。意図的にしっかりと粒を倒さないと、当てるだけではナックルにしかなりません。
粒が倒れにくいため、変化の幅は小さくなってしまっていますが、反面、ミート打ちがしやすくなっています。
粒が硬いので、インパクトの強さが非常に重要になってくるラバーと言えます。
相手の球もある程度強くないと、硬い粒は倒れてくれません。
強いインパクトを与えることができる選手であれば、このラバーはものすごい武器になります。なぜなら、ブロックもプッシュも、切れたボールもナックルも、変幻自在に変化をつけることができるからです。
しかも攻撃的な変化球。
出澤選手は、粒を倒して変化をつける打ち方をしているときもあれば、表のように弾く打ち方をしているときもあります。粒高の技術が豊富でひじょうに参考になります。
少なくともボールに勢いのないおばさん卓球(ただし,上位陣を除く)には向いていないラバーですね。球威が弱いと、粒を倒すのが難しいから…。



多分私は使いこなせないな。




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