表ソフトラバーと粒高ラバー。
どちらも表面がつぶつぶしているラバーでよく似ていますが、何がどう違うのか、わかっているようでわかっていない人も多いのではないのではないでしょうか?
粒高ラバーの定義について、詳しくは下記をご覧ください。
表ソフトラバーと粒高ラバーでは、粒の形状が違うだけなのですが、打ち方も球質も全く違うものになります。
両者の球質の違いを理解できれば、自分が裏ソフトラバー以外を使いたいと思ったときに選びやすくなりますし、なによりも、
対戦相手が異質ラバー(表または粒高ラバー)使いで、どう対応していいかわからなくてパニックになって負けちゃった。
なんてことも少なくなります。
本記事では、表ソフトラバーと粒高ラバーの性質の違いを解説し、対戦相手が使用しているときの対処法を紹介します。
両者の違いをざっくりとまとめると、以下の表のようになります。
表ラバー | 粒高ラバー | |
---|---|---|
回転 | 裏ほどではないが回転をかけられる | 自分で回転をかけられない |
球威 | ナックル気味の威力あるボール | 威力もスピードもない |
安定性 | あり | なし |
変化量 | 小さい | 大きい |
表ソフトラバーと粒高ラバーの性質の違い
表ソフトラバーと粒高ラバーはどちらも「粒」が表面に出ているタイプのラバーですが、性質には大きな違いがあります。
裏ソフトラバーじゃない、異質ラバーを使いたいと思った人は、参考にしてください。
表ソフトラバーの特徴
表ソフトラバー使いといえば、伊藤美誠選手がその代表格。
表ソフトラバーは、短くて太めの粒が表面に並んでいるラバーです。
粒が短いため、打球時には「弾き」が強く、スピードのあるショットが打てるのが特徴。また、回転の影響を受けにくいため、相手からの強いスピンに対しても対応しやすいメリットがあります。
- 弾きやすく、スピードが出るため、テンポの速い攻撃が可能
- 回転の影響を受けにくいため、安定したリターンがしやすい
積極的に攻撃したいプレイヤーに向いているラバーです。
回転量
裏ソフトラバーほどではありませんが、ある程度回転をかけることができます。
回転を殺してナックルを出すこともできます。
練習次第では、伊藤美誠選手のように、表なのに裏ソフト並み、いや、それ以上の回転をかけることだってできます。
伊藤美誠選手のバックハンドドライブのあまりの回転量に、相手選手が空振ったり、オーバーミスをしたりする場面がよく見られます。
表ラバーで回転をかけるためには、かなりの練習量と技術力が必要になりますが、できないことはないことを示す例です。
球威
球離れが早く、裏ソフトに比べて相手の回転の影響を受けにくいので、スマッシュ主戦型の選手が好んで使用しています。
厚いスポンジのものを使用する選手が多いこともあり、球威はあります。
ドライブがどうしても苦手で……。開き直ってフォア表にして、ミート打ちをガンガン打つようにしたら、自分には合っていたらしく、勝てるようになったよ。
たとえ後ろ向きな理由で表にしたとしても、自分にあったスタイルならどんなスタイルでも伸びる…、と私は思っています。
フォア面に表ソフトラバーを貼っているトップ選手といえば、ファルク選手。
安定性
裏ソフトラバーほど安定はしませんが、安定して打つことができます。
裏ソフトから表ラバーに変更した当初は、多少の戸惑いはあるかもしれませんが、すぐに慣れるのではないでしょうか。
変化量
粒高ほどの変化はありません。
裏ソフトラバーほどの回転をかけることはできませんが、その分相手の回転の影響を受けにくいため、スマッシュをしやすいという利点がああります。
ナックル気味のスマッシュになるので、相手は取りづらいです。
裏ソフトラバーの感覚で、うっかり普通にブロックしちゃうと、落ちるんだよね。
粒高ラバーの特徴
粒高ラバー使いといえば、還暦を過ぎてもなお世界第一線で活躍する倪夏蓮選手。
粒高ラバーは、長く細い粒が特徴。
粒が長いため、ボールに独特の「変化」を与えることができ、相手の打球を揺さぶったり、回転を反転させる効果が期待できます。
特に守備的なプレースタイルのプレイヤーに重宝されており、相手のリズムを崩したいときに有効。
- 相手の回転を利用して、変化のある打球を返せる。
- 守備に向いているため、相手のミスを誘いやすい。
相手の回転を活かしてプレーしたい守備型の選手に適しています。
回転量
基本的に、回転の影響を受けにくい半面、自ら回転をかけることができません。相手の回転をそのまま返すか、回転や威力を殺してナックル球を返すことしかできません。
ただし、粒高上級者は少ないながらも回転を与えて返すことができます。
ルクセンブルクの倪夏蓮選手のレベルになると、粒高でドライブ回転を与えて返します(ただし微回転)。
球威
粒高の特性を最大限に活かすため、スポンジなしか、あっても薄いスポンジのラバーを使用することが多いことにも関係がありますが、威力はありません。
威力もなければスピードもありません。
安定性
安定性が低く、自分が狙ったコースに打てるようにするためには、裏ソフトラバーや表ソフトラバーに比べてかなりの練習量を必要とします。
その一方で、相手の回転の影響を受けにくいので、相手の回転を無視して自分の狙ったコースに打つこともできます。
変化量
粒の形状と打ち方により意図的に変化をつけて返球することもあれば、打った本人が思いもよらなかった変化をして、ボールが返っていくことがあります。
バック粒vs.バック粒同士の戦い。
粒高ラバー使いの何卓佳選手(フェイントソフト)と出澤杏佳選手(カールP5V)の対戦は話題になりました。
異質ラバー使いと対戦したときに
表ラバーや粒高ラバーを使う相手との対戦は、通常のラバーと異なる対応が必要になります。
それぞれのラバーの特性を理解しておけば、対戦したときに慌てることなく冷静に対処できます。
表ラバーも粒高ラバーも、ナックルボールが苦手であることは共通しています。
ナックルボールは仕掛ける方もリスクのある諸刃の剣。ナックルボールに対する相手選手の技量にも注意が必要です。
ラケット交換のときに見るべきポイント
ラケット交換時に見るべきポイントは、粒の形状とスポンジの厚さ。
変化系表でもスポンジのないOXを使用しているのであれば、表だけれども粒高ラバーのような球質になりますし、粒高ラバーでもスポンジが厚ければ表ソフトラバーのような球質になります。
粒の形状とスポンジの厚さを見て、攻撃重視なのか守備重視なのかを判断します。
中国の何卓佳選手の使用ラバーはフェイントソフトという粒高ラバーですが、使用するラバーにスポンジが入っており、そのプレーを見る限り表ソフトのような攻撃を仕掛けていることもあります。
変化系表なのか粒なのか、どちらに分類されているものなのかを知っておくだけでも、心理的に全然違います。
とりあえずラバーの端っこを指で倒してみて、ぐにゃりと簡単に倒れるようであれば粒高、倒れにくいようだったら表と考えておきます。
ラバーの種類に関わらず、真ん中を触ると相手に怒られます。触るのだったら、ボールが当たらない端っこにしてください。
そもそも相手のラバーを触るのは、失礼なことなので、おすすめしません。
見るだけで判断できるようになりましょう。
相手選手が表ソフトラバーを使用している場合
表ソフトラバーを使っている相手は、スピードのあるボールを打ち込んできやすく、速いピッチで攻めてくることが多いです。
早いピッチに惑わされないようにする
表ソフトラバーは裏ソフトラバーよりも回転の影響を受けにくいので、ボールの弾道が直線的でスピーディー。
速いピッチとナックル気味のボールに乗せられてしまうと自分のミスが増えやすくなります。深い位置に返球するなどで相手のペースを崩すことを意識しましょう。
軽い回転の返球を狙う
表ソフトラバーは回転のかかりにくさが特徴。
相手が回転に頼っていない場合、スピードとタイミングに気をつけながら、こちらもミート打ちや軽いスピンを加え、相手に意図しない反応をさせるのも効果的です。
相手選手が粒高ラバーを使用している場合
粒高ラバーを使用している選手は、スピードと威力はないものの、相手の回転を逆手に取る「変化プレー」が得意。
強味と弱味は表裏一体。強みが弱みになるように仕掛けることが、粒高ラバー対策です。
回転の変化を見極める
粒高ラバーは自ら回転をかけられませんが、回転を殺したり、向きを変えたりすることが得意です。
ボールの軌道とボールのロゴマークの動きで回転を見極め、対処することが求められます。
ナックルボールはボールについているメーカーのロゴマークがはっきりと止まって見えますし、揺れてます。
リズムを崩されないように
粒高ラバー使いの選手は、ボールに緩急をつけて相手のリズムを崩したり、ミスを誘う戦術が一般的です。
崩されそうになっても、落ち着いて一球一球返球していけば、崩れることはありません。
まとめ:表ラバーと粒高ラバーの違い
表ソフトラバーと粒高ラバーの違いがわかれば、自分が使用するときはどちらが自分のプレースタイルに合っているのかかかりますし、対戦する時の対策もしやすくなります。
表ソフトラバーはスピード重視で攻撃的なプレースタイルで、粒高ラバーは変化球を活かして守備が得意なプレイヤー。
対戦相手がこれらのラバーを使用している場合、ラバーの特性を踏まえて冷静に対応することが重要になります。
表ソフトラバーの選手にはスピードとピッチを意識し、粒高ラバーの選手には変化に対応できるようにリズムや回転を見極めることを心がけ、試合での対応力を高められるでしょう
球質の違いのまとめ
球質の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
表ラバー | 粒高ラバー | |
---|---|---|
回転 | 裏ほどではないが回転をかけられる | 自分で回転をかけられない |
球威 | ナックル気味の威力あるボール | 威力もスピードもない |
安定性 | あり | なし |
変化量 | 小さい | 大きい |
実際には表と粒高で明確な線を引けるものではなく、変化系の表は粒高に近い性質をもち、粒高でもスポンジが厚かったり粒が太かったりすると表に近い性質のラバーになります。
定義上の違いは一応ありますが、表と粒高の境界は実際にはひじょうに曖昧なものです。
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