現在、卓球のラバーは必ず片面は黒、もう片方は異なる色のラバーを両面(ペンホルダーラケットの場合は裏面にラバーとは異なる色のシートを貼る)に貼らなければならないと、ルールで決まっています。
フォア面に赤を貼る選手もいれば、黒を貼る選手もいます。
どちらでも良いように見えますが、こだわりを持っている選手もいるように見えます。
特に中国選手でフォア面に黒を貼っている選手が多いような気がしない?
それってやっぱり、性能に違いがあるということなのかしら?
何を隠そう私はゴムメーカーに勤務していたのだ。ゴム屋目線でわかりやすく説明してみるよ
ラバーの性質はゴムに混ぜ込む添加剤の配合によって決まる
ラバーの性能は、ゴムシートの厚さや粒形状、スポンジゴムの性能によって決まります。
ここではシートやスポンジを構成するゴムの性質のみについて論じます。
ゴムは、主原料となる生ゴム(天然ゴムなどのポリマー)に
- 架橋剤
- 色素
- 促進剤
- 老化防止剤
- (スポンジゴムの場合)発泡剤
などを添加してローラーで練り込み、金型に入れて加熱架橋して生産されています。スポンジゴムの生産方法はこれとは異なりますが、材料を混ぜて加熱架橋して生産することに変わりはありません。
配合はロットによって微妙に変わってしまいますし、ゴムを架橋反応させるときの微妙な温度の違いによっても性能は微妙に変わります。
何をどのぐらいの割合で配合するのかは企業秘密なので、もちろんわかりません。
ラバーの色の違いは色素の違い
ゴムメーカーは、性能に差が出ないように日々努力しています。
黒いラバー
黒いラバーは、おそらくカーボンが使用されていると考えています。
鉄にカーボンを混ぜると鋼という丈夫な金属になるように、ゴムにカーボンを混ぜ込むと、強いゴムになります。
タイヤが黒いのは、カーボンが使われているからだよ
カラーラバー(赤を含む)
黒はカーボンで簡単に色がつけられますが、他の色はそうはいきません。
赤は赤の、青は青の色素を用いますが、使用する色素の種類や配合割合で、性能が変わって違うのが困りもの。
使用する色素によって化学式は全く異なります。僅かな違いでも、ゴムの性能にはどうしても差が出てしまいます。
色は違っても、性能の同じものを作るのは難しい。カーボンを使わない黒ゴム作成にチャレンジすることもあったよ……。
色の違いでラバーの性能に違いはあるのか
卓球メーカーの検査値としては、ほとんど誤差の範囲内で収まっているのかもしれません。
しかし、実際に使用してみると、赤と黒に性質の違いを感じることがないわけではありません。
差がないと感じるラバーもあれが、はっきりと違いの分かるラバーもあります。
個人的に、狂飆シリーズはフォア面を黒にしたほうが打ちやすかった
一般的に、
日本製やドイツ製のラバーはあまり性能差を感じないけれど、中国製のラバーは違いを感じる
と言われています。
差がある中国製ラバーでも、初心者はほとんど気づかないレベルの差なので、気にする必要はありません(それ以前に初心者に中国製ラバーはおすすめしません)。
卓球の実力により、気づく人もいれば気づかない人もいます。
気にするのは、中級者以上になってからでいいのではないでしょうか。
配合するものが違うのだから、多少なりとも性能に違いが出ちゃうのは当たり前だ~!(元ゴム屋の心の叫び)
スピードの赤いラバー
赤のほうがシートが硬く、よく弾み、スピードが出るような感じ。
カーボンを使用した黒は光を透過しないので問題ありませんが、カラーラバーの場合、色素によっては光を透過してしまい、ラケットの模様が透けて見えてしまうことがあります。
ラケットの本体が透けて見えてしまうのは、卓球のルールとしてN.G.です。模様のないラケットならO.K.です。
>>透ける赤い一枚ラバーでも大丈夫なティバーのラケット『幻守』について詳しく知りたい方はこちら
スピンの黒いラバー
黒のほうが柔らかく、引っかかりやすく、スピンがかかりやすい印象。
中国ラバーの場合、黒のほうが粘着力が強いような気がします。黒のほうが安定して打てる感じ。
フォアは赤?それとも黒のイメージ?
一般的に、卓球と言えばフォアは赤、バックは黒のイメージが強いのではないでしょうか。
実際、初心者のラケットはそのパターンが多いです。
中級者以上になるとこだわりが出てくるのか、フォアは黒、バックは赤の選手が増えてきます。
トップ選手の用具使いを真似してフォアを黒にしてみたら、意外といい感じ。それ以来、フォアを黒にしたよ。
好みの問題ですけどね。
開発歴の長い赤や黒に性能差はそれほどありませんが、開発歴の短いカラーラバーは性能差がかなりあるとの噂。
- 傷が付きやすい
- 色がすぐにあせてグレーっぽくなってしまう
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