粒高ラバーには、スポンジのある「ソフト」と呼ばれるタイプと、スポンジのない一枚ラバー「OX」の2種類があります。
スポンジ「あり」と「なし」は何がどう違ってくるの?
たかがスポンジ、されどスポンジ、粒高ラバーにスポンジが入っているのとないのでは大違い。全く別物のラバーになっていると考えていいでしょう。
ここでは、
- 一般的に言われているスポンジの有無による性能の違い
- 実際にどう違ってくるのか、同じラケットにカールP3Vを貼って打ち比べ
- 戦型別オススメの厚さ
について紹介します。
スポンジありの粒高を使用すること5年、スポンジなしの粒高を使用すること10年の私が、改めて両方のラバーを打ち比べてみました。
たった0.5mmのスポンジがあるだけで、同じように見えても球質や感触は実際に打ってみると全く違うものだったよ。
スポンジの有無による一般的な性能の違い
一般的に言われているスポンジありとなしの特徴は以下の通り。
| スポンジ有り(ソフト) | スポンジなし(OX) |
---|---|---|
打球感 | ソフト | ハード |
変化の大きさ | 小さい | 大きい |
弾み | 飛ぶ | 飛ばない |
回転 | ほんの少しかけられる | かけられない |
コントロール性能に関しては個人差が大きく、スポンジがあったほうが食い込むからコントロールしやすいという人もいれば、板で打つ感覚があるOXのほうがコントロールしやすいという人もいます。
一般的には、スポンジがあったほうがコントロールしやすいと言われています。
私の場合は、スポンジのないOXの方がコントロールしやすいね。
今ではOX歴(10年以上)が長いので、OXの方が慣れているだけかもしれません。
スポンジありの粒高ラバーの特徴
- スポンジが厚いほど表ソフトラバーに近い感覚
- 打球感がソフトになり、球持ちが良くなる
ボールが当たった時、スポンジが凹むことにより相手ボールの威力を捉え、捉えたエネルギーは反発力として打ち返すことができます。つまり、弾みが大きい。
反面、スポンジが凹んでしまうので粒がそれだけ倒れにくくなってしまい、変化幅は小さいものとなってしまう欠点があります。
ゆえに、ナックルボールになりやすい。
スポンジが厚いほど弾みは大きくなりますが、変化は小さくなります。
球持ちが良いので、スポンジのない一枚ラバーよりも「多少は」回転をかけることはできます。
貼り直しできるのが、OXラバーにはない魅力
スポンジなしの粒高ラバーの特徴
- 粒が倒れやすく変化が大きい
一枚ラバーの良いところは、この一言につきます。
ボールの威力は、スポンジがないのでラケット本体で受け止めることになります。
ラケットはスポンジと違い反発しないので、ボールは飛んでいかずによく落ち、よく止まります。
そして、ただし、受け止めた相手ボールの威力をうまく逃がすことができないとオーバミス。威力を抑え込みすぎるとネットミス。
一枚ラバーはコントロールしにくいと言われるのはこの威力の制御。慣れれば問題なしだけど、かなり練習する必要があります。
カールP3V 0.5mmとカールP3V(OX)を打ち比べ
スポンジの有無で性能が変わってくることはわかっていても、実際に試してみないことにはどの程度のことなのかわかりません。
スポンジがある場合とない場合ではどう違ってくるのか、VICTASのカールP3Vの0.5mmとOXを使って実際に比較してみました。
両方とも、同じニッタクの剛力ラケットに貼って打ちました。
比較のため、同じラケットにスポンジだけが違うラバーを貼っているだけなので、同じ見た目にしか見えませんが…。一応違うラバーです。
カルフレックスのピンポンマシンを使って、打ち比べてみました。
打った条件は下記のとおりです。
- ブロックは「High」だが、それ以外は「Middle」のスピードモード
- ブロックとミート打ちは上回転で、プッシュは下回転モード
「ブロック」はほぼ当てるだけのブロックで、「カットブロック」は下に振り下ろしています。
OXは打った時の「コン」という音が好きです。
- ブロック
-
スポンジありの方はふわっとしたボールが返っています。もう少し練習して角度の感覚が分かれば、なんとかなりそうです。
ナックル度は、「スポンジあり」>「なし(OX)」 ですが、回転の向きが変わっていますので、対戦相手にとってはおそらくOXの方がやりづらいかもしれません。
- カットブロック
-
カットブロックは粒を意図的に倒して返球するブロックです。上回転を下回転に切って返す技術になります。
スポンジがある方は、スポンジがあるぶんだけ粒が食い込み、倒れる度合いが少なくなってしまいます。その一方でOXは食い込みがないので粒がしっかり倒れてくれる感触があります。
OXの方が切れてます!
- プッシュ
-
ボールの威力はスポンジがあったほうが出ますが、ボールのコントロールはOXのほうが威力を殺せるのでしやすいです。
ボールの回転を見る限り、OXのほうが(反転した)回転量が多く、スポンジがある方はボールのメーカー印がはっきり見えるほどにナックルボールです。
- ミート打ち
-
圧倒的にスポンジが入っていたほうがやりやすいです!威力も増している感じです。
厚いスポンジの粒高ラバーを使えば、違いはもっと明確になったのかもしれません。
普段OXを使っている身としては、急にスポンジの厚いラバーを試してみたところでうまく扱えるか自信がなかったので、薄い0.5mmにしました。
わずか0.5mmのスポンジが入るだけで、めっちゃ飛ぶ!ボールの勢いを抑え込むのが難しい!
関連:VICTASの粒高ラバー カールP3V徹底レビュー-初級者から上級者まで
戦型別オススメの厚さ
ペン粒型
粒高ブロックで相手を翻弄し、チャンスボールはラケットを反転、または裏面打法で強打!
といきたいところですが、反転技術も裏面打法も高度な技術なので、粒高面でも攻撃したいと考えるもの。
ペン粒型選手はOXを使用する選手もいますが、粒高面での攻撃力を考えて一般的に極薄~薄を使用する選手の割合が高くなっています。
ニー シャーリエン選手はカールP1V(OX)でも攻撃しています。
シェーク異質攻守型
粒を最大限にまで押し倒し、変化の大きいブロックを多用して相手を翻弄し、チャンスボールはしっかりフォアで叩く!
どんなボールも粒を押し倒して返球するのではなく、時には粒を押しつぶすような打ち方をして揺れるボールを打つこともある。
そんなシェーク異質攻守型には、一枚ラバーのOXがオススメ。
一枚ラバーは粒が倒れやすいですし、粒の太いラバーを選べば押しつぶす打ち方も容易です。
出澤杏佳選手は、粒高で5種類の打ち分けができる技術の持ち主だよ。
シェーク異質攻撃型
スポンジが厚いほうが、相手の強打に対する反発力を利用して打ち返すことができます。
異質面でも攻撃したい選手には、中以上の厚さをオススメします。
スポンジが厚いほど、表ソフトラバーのような感覚で打つことができます。
粒高ラバーで厚以上を使用している人を見たことはありません。私が会ったことがないだけで、実は結構いたりしますか?
ヘ ジュオジア選手は、バックハンドをガンガン振って、粒高面でも攻撃しています。
表ソフトラバーとしか思えないような使い方をしていますね。
カットマン
カットマンは少し離れた場所からボールを打ち返す必要があります。スポンジがあったほうが飛ぶので、相手コートにまで安定して打ち返すことができます。
薄いほうが変化幅が大きいので、相手のドライブ回転を利用したブチギレカットが出やすくなります。
極薄~薄をオススメします。
松下浩二さんは、高校生時代、確か皮付き極薄を使用していたはず…。
まとめ
初めて粒高ラバーを使用する人は、スポンジありの方から初めてみるといいでしょう。
スポンジなしは癖が強いので扱えるようになるには練習が必要ですが、変化が大きいので使っていて楽しいです。
変化とはどういうことなのか、こちらで詳しく解説しています
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