カールP3VはVICTASが販売する粒高ラバー。
TSP時代は「カールP3」という商品名だったのに、VICTASになって「カールP3V」に名称が変わりました。VICTASのVなのかな?
ラバーにはラケットとの相性もあれば戦型との相性もあります。
打った時の打球感や弾道の好みもあります。
カールP3Vは、私がいつも使用しているラバーです。
カールP3Vは、
- 初級者から上級者まで使用できる
- 変化よりも安定性重視
- 粒高面でもある程度攻撃したい
人にオススメのラバー。
初めて粒高ラバーを使う人(特にシェーク前陣異質攻守型)に、おすすめできるラバーです。
シェーク裏粒前陣異質攻守型の私が、複数のラケットにカールP3Vを貼り、それぞれのラケットで打った感触を評価しました。
カールP3Vの商品概要
粒の形状は円筒形で、表面に網目模様があるタイプです。
製造国 | 日本 |
ラバー色 | 赤、黒 |
スポンジ厚 | 1.5、1.0、0.5、OX(スポンジなし) |
スポンジ硬度 | 55±3 |
太く低めの粒形状で、安定性が高い。
予想以上の変化に加え、ナックル性の攻撃にも威力を発揮。
粒高初心者や、攻守を織り交ぜるタイプに最適。
VICTAS公式サイトより
粒の形は、P1Vと並べて見るとその違いがよくわかります。
カールP3Vを独自指標で検査
メーカー公表値は、メーカー独自の方法で検査したものであるためメーカーごとに基準が異なり、同じ値でもメーカーが異なれば硬さが違うということが多々あります。
メーカー関係なく評価できる方法はなにかないかと考え、実験的に試してみました。
ラバーの摩擦力
カールP3Vの摩擦力25
割れた卓球ボールの半球に重りを50g入れ、動き始める時の力をバネばかりで測定しました。
動き始めた時の秤の表示は、25gでした。
カール P3Vをさまざまなラケットに貼って打ってみた
さまざまなラケットにカールP3Vの0.5mm厚を貼り、カルフレックスのピンポンマシンを使って打ってみました。
打った条件は下記のとおりです。
- ブロックは「High」だが、それ以外は「Middle」のスピードモード
- ブロックとミート打ちは上回転で、プッシュは下回転モード
「ブロック」はほぼ当てるだけのブロックで、「カットブロック」は下に振り下ろしています。
ニッタクの剛力ラケット
ニッタクの剛力ラケットに、カールP3V 0.5mmをのり助さんを使用して貼りました。
スポンジカラーは黄色です。
- ブロック
-
ほぼ当てるだけのブロックをしています。
変化はあまりありません。飛んでいくボールのマークがはっきりと見えるので、ナックルボールであることが確認できます。
- カットブロック
-
ブロックに比べると、カットブロックの方が安定して返すことができます。回転量はそれほど多くないことが確認でき、変化は大きくないことがわかります。
- プッシュ
-
いつも使っているカールP3V(OX)と比べると、プッシュというより若干カットような打ち方になってしまいました。
いつものOXラバーではそのようなことはなく、スポンジの有無による違いなのかもしれません。
- ミート打ち
-
当たり前ですが、OXラバーに比べるとミート打ちは安定して打ちやすいです。ただし、弾道は若干弧を描きます。
裏ソフトラバーとは違い威力はありませんが、ボールのマークがはっきり見えるナックルスマッシュになっているので、相手にとっては返球しにくいボールになっていることは間違いありません。
ティバーの幻守
ティバーの幻守に貼って打ってみました。幻守は極薄異質ラバー向けに開発されたラケットです。
- ブロック
-
ほとんどミスすることなく、安定して返すことができました。
- カットブロック
-
ブロック同様、ほとんどミスをすることなく安定して返すことができました。
- プッシュ
つぶまるなんですか?このやりやすさは…。コントロールもすごくしやすい。
- ミート打ち
-
ミート打ちは若干の不安定さを感じますが、少し練習をするだけで安定して打てるようになりそうな感じです。
ヤサカ テナシティウッド
- ブロック
-
特に意識をしなくても、短く低い弾道が返りました。
- ミート打ち
-
弾くようなミート打ちはかなり不安定で、打ちづらさを感じました。ややドライブ回転を与えるような打ち方をすることで、なんとか安定して入るようになりました。
>>テナシティウッドについて詳しいレビューを知りたい方はこちら
スティガのオールラウンドエボリューション
スティガのオールラウンドエボリューションに貼って打ってみました。
- ブロック
-
当てるだけのブロックでは、剛力に比べると、短く止まらずふわっとしたボールが返球されます。
ふわっとしていますが、安定した返球ができます。
ラケットの角度や打ち方を少し変えるだけで、低い弾道も出せます。
- カットブロック
-
ふわっとしたボールが深いところに入ります。若干、台上におさめるのが困難に感じます。
- プッシュ
-
プッシュは、割と深いところに返球されます。
- ミート打ち
-
打ちやすいですが、威力はありませんし、ふわっとした弾道です。
剛力のような速く鋭い弾道にはなりませんでした(もう少しやり込めば打てるようになるかもしれませんが…)。
ピンポンマシンを使用した試打ではあまり違いがわからないかもしれませんが、対人練習をすると、相手の強打を受けた時に、相手の威力を抑えきれないと感じることが多かったです。
カールP3Vを使用している選手
すでに引退されている選手ですが、バック面にカールP3を貼って活躍したトップ選手はいます。
福岡春菜選手
2008年の北京オリンピックの日本代表選手であった福岡選手はスポンジの入っていないカールP3(OX)ラバーを使用していました。
スポンジが入っていないラバーは攻撃がしづらいのですが、福岡選手は練習することにより、粒高面でのスマッシュやドライブをマスターしています。
阿部恵選手
阿部恵選手は、スポンジのあるカールP-3ソフトを使用していました。
カールP-2 やアタック8を使用していた時期もあり、使用ラバーの変遷を見ると、変化型表ラバーを好む選手であることがわかります。
カールP3Vのまとめ
評価はすべて私の主観で、私の卓球技術に依存します。ひじょうに扱いやすい、良いラバーですね。(というか、いつも使っているラバーです)
全体的評価
- ブロック
-
ドライブボールに対し、インパクト時にしっかし下に振り下ろして粒を倒せば下回転のボールが飛んでいきますが、どちらかというとナックルボールです。
相手の球威をそのままに勢いのあるブロックから、球威を殺してネット際に落とすブロックまで、緩急をつけたブロックが容易です。
- プッシュ
-
ふわっとした揺れるプッシュから、相手コートの深いところに鋭く突き刺さるような早いプッシュまで、ひじょうにコントロールしやすいです。
揺れるプッシュよりも、スピードのある鋭い攻撃的なプッシュがしやすいです。
- ミート打ち
-
粒が太くて短いので、ミート打ちは比較的容易です。
表ソフトのようだと言われることもありますが、球質は表ソフトとは違い、かなりナックル系のボールが飛んでいきますので、相手にとっては取りづらいボールになります。
表ソフトのような打ち方が可能。
カールP3Vはこんな人にオススメ
- 卓球の技術レベルは初級~上級者
- 粒高で攻撃ができないって何のこと?粒高ラバーでも攻撃できるよ
- 変化よりもナックル球で相手を翻弄したい
- 裏ソフト面と粒高面で緩急をつけて相手を翻弄したい
そんな嫌らしいプレーが好みの人におすすめします。
威力はないけれど、粒を押しつぶして繰り出すミート打ちがしやすいのが良いのよね。
シェーク前陣異質攻守型なら、まずはこれを使え!
そんなラバーです。
カールP3Vをおすすめできない人
- 相手のドライブボールをガッツリ切って返したい
- 粒高面で攻撃することは考えていない
カールP3Vは変化よりも安定性重視の粒高ラバーです。
相手のドライブボールをガッツリ切って返すことは困難ですが、ほぼナックルボールになって返っていきます。
カールP3Vは安定しているので攻撃もしやすいラバー。
粒高面で攻撃することを考えていないのならば、カールP3Vの良さを活かしきれません(別に活かす必要もないのかもしれませんが…、ちょっともったいなく感じてしまうんです)。
変化が大きいラバーが良い方は、カールP1Vのほうをおすすめします。
スポンジの有無で何が違うのかについて、こちらで検証しています。
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