福岡春菜選手:王子サーブと粒高技術で世界を魅了

シェーク裏粒前陣異質攻守型といえば、福岡春菜選手は外せません。

日本リーグの「中国電力」チームに所属していた選手で、国内外の多くの大会で活躍していました。

2008年の北京オリンピックの団体戦の日本代表として選ばれており、平野早矢香選手と福原愛選手と一緒に戦っています。

つぶまる

このときは3位決定戦で韓国に 0-3 で負けてしまい、メダルを取ること叶わず、3人で号泣していたことをよく覚えています。

次のオリンピックには出場しませんでした。しかしこの時の涙が次のオリンピックでの日本女子団体戦銅メダルに繋がったのだと、私は信じています。

大手メディアでは「王子サーブ」といえば福原愛選手と捉えられがちですが、卓球ファンなら「王子サーブ」といえば福岡春菜選手です。

王子サーブをはじめとする多彩なサービスとバック面の粒高ラバーを活かした異質攻守型スタイルは、多くの卓球ファンを魅了しました。

本記事では、福岡春菜選手の実績、歩み、プレースタイル、使用していた用具などを紹介いたします。

福岡選手は2015年に引退されて、ご結婚され(鎌田姓)ました。

2023年の全日本マスターズに出場され、大いに話題になりました。

この記事を書いた人

卓球が趣味のアラフィフおばさん
上級公認審判員
とある地方卓球協会の役員

卓球はあまりうまくはないけど用具の研究は好き

女性目線で紹介するよ
目次

福岡春菜選手の主な実績

世界ランキング

部門最高ランク取得時期
シニア202007年11月
21歳以下122005年11月
ジュニア432002年12月

主な戦績

大会名部門順位
2004ユニバーシアード女子シングルス優勝
2005アジア選手権混合ダブルス3位
2006全日本卓球選手権混合ダブルス優勝
2006第48回世界卓球選手権大会団体戦3位
2006ITTFプロツアー・ブラジル女子シングルス優勝
2008世界選手権団体戦3位
2008北京オリンピック団体戦4位
2023全日本マスターズフォーティ女子準優勝

これらの輝かしい実績を見て分かるように、かつては日本の卓球界を牽引していた方だということが分かります。

2023年の全日本卓球選手権大会(マスターズの部)の40代女子の部に出場され、準優勝されました。卓球大会の表舞台に登場したのは、久しぶりではないでしょうか。

つぶまる

組み合わせが発表された時、元オリンピアンがノーシードの1回戦から出場していると、SNSではちょっとした話題になっていました。

決勝では惜しくも負けてしまいました。しかし元オリンピアンが今でも卓球を続けており、選手として大会に姿を現してくれることは、往年の卓球ファンにとってたいへん喜ばしいことです。

https://twitter.com/Tafutaku_pst/status/1731506010756624523
https://twitter.com/jtta_official/status/1730955059876503569

年令を重ねても、今も現役時代と変わらぬお姿です。

全日本マスターズフォーティの部で準優勝したときの記事が載っています

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福岡春菜選手の歩み

幼稚園の頃に兄弟たちとともに卓球クラブに通い始めたのが、福岡選手にとって最初の卓球との出会い。

小学6年生で全国で6位入賞を果たしました。

四天王寺中学・高校時代

小学校卒業後は、卓球の名門校である四天王寺中学校・高校に進学します。

全国中学校卓球大会では準優勝、インターハイでは優勝も経験しています。

おそらくこの時代に、福岡選手の代名詞とも言える王子サーブを作馬六郎氏から伝授されたのではないかと思われます。

日本大学時代

高校卒業後は日本大学に進学。

国内外の多くの大会に出場し、2004年のユニバーシアードでは女子シングルスで優勝し、国際的な評価を得るようになりました。

日本リーガーとして

大学卒業後は中国電力チームに所属し、日本リーグで活躍。

2008年には日本代表選手として、福原愛選手、平野早矢香選手とともに北京オリンピックに出場しています。

ラケット失格事件

福岡選手といえばラケット失格事件がありました。

2006年の世界卓球選手権にて、ラケットのラバーの接着剤のキシレン量が規定より多かったため、試合には勝ったものの、失格となってしまったことがあります。

当時はまだ有機溶剤系接着剤の使用が認められていました。禁止されたのは2008年からです。

福岡選手は失格で負け扱いになってしまいましたが、その後4番手の福原愛選手が勝利したため、日本チームは準決勝に駒を進めることができています。

翌日の準決勝では、福岡選手は前日の失格にもめげずに試合をしています。

つぶまる

卓球の技術だけでなくメンタルの強さも見習いたいポイントですね。

メンタルトレーニングについて、福岡選手は下記書籍で語っています。

大舞台で活躍している選手は、卓球の技術だけでなくメンタルも鍛えているもの。

つぶまる

メンタル弱弱な私は、見習いたいですね。

現役引退

2015年の全日本卓球選手権大会を最後に引退しました。

引退後は卓球の指導者や解説者として活動。次世代の育成や卓球の普及に努めてくれています。

2023年の全日本マスターズでは、再び選手として登場。その変わらぬプレーに往年のファンたちを喜ばせてくれました。

福岡春菜選手のプレー

福岡春菜選手といえば、バック粒高の技術だけでなく、王子サービスを始めとする多彩なサービス技術でも有名です。

特に豊富なサービスは、世界を驚かせました。

多彩なサービス技術と粒高技術で相手のリズムを崩し、相手のミスを誘うだけでなく、チャンスボールを生み出してスマッシュで撃ち抜いていくのが持ち味です。

豊富なサービス

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福岡春菜選手といえば、その豊富なサービスの種類が特徴です。

一説には、24種類あるとも言われています。

王子サーブが有名ですが、王子サーブだけでなく通常のサービスや巻き込みサーブなど、実に多彩なサービスを持ち味としています。

上回転なのか下回転なのか、本当によくわかりません。ほとんど同じフォームで待った異なる回転のサービスを繰り出しています。

王子サーブを出す時、人差し指と中指の間でラケットを挟み込みます。親指と人差指でラケットを挟む通常の握り方とは異なります。

つぶまる

私は王子サーブを真似してみようとしたものの、グリップの握りかえがうまくできずラケットを落としまくり、断念しました。

ラケットを裏面でサーブを出すのって、本当に難しい。

今では、小学生が王子サーブを出しているのをよく見かけます。

しゃがみこみサーブなので、下半身をしっかり鍛えておかないと、成長すると出すのが難しくなるサーブです。

粒高技術

見習いたい技術満載です。

粒高で守るだけではなく、積極的に攻撃するのが福岡流。

長短をつけてどこに飛んでいくのかわからない読みづらさ。

粒高初級者は、当てるだけのプッシュやブロックばかりになってしまいます。

福岡選手のプレーを見ていると、短く巧みに止めたかと思えば、長く深いところに速く低い攻撃的なプッシュを押し込んで相手を翻弄しているのが見て取れます。

粒高でも攻撃

粒高でスマッシュやドライブを打つことは不可能だと、かつては言われていました。

しかし福岡選手は不可能と言われたことにあえてチャレンジし、練習を積み重ねることで粒高面でのスマッシュやドライブをものにしてしまいました。

しかも粒高面で打つ球質はナックル性のスマッシュやドライブになるので、相手は戸惑うこと間違いなしです。

福岡春菜選手の使用用具

福岡春菜選手は用具をコロコロ変えることはありません。ずっと同じものを使い続けていました。

ラケットとフォア面で使用していたものは現在廃盤になっています。下記で紹介しているものは、日本代表選手として活躍していた頃に使用していた用具です。

つぶまる

今現在使用している用具が気になる。

ラケット PF4

7枚合板のPF4は、残念ながら今は廃盤となっています。

福岡選手は現役時代、このラケットを小学6年のときから使用しており、かなり使い込んでボロボロの状態だったようです。

粒高にあうラケットというのはなかなかないので、使い続けるしかなかったのでしょう。

つぶまる

「剛力」はPF4の後継と言われるラケットで、異質型の選手にとって、待ちに待ったラケットかもしれません。

フォア面 TSP トリプルパワー 薄

これも今は廃盤となってしまった粘着系のラバーです。を使用しているのが、最大の特徴です。

つぶまる

福岡選手に憧れて、半年ほどこのラバーを使用したことがあります。非常に硬くて飛ばなくて、なかなか癖のある扱いにくいラバーでした。

パチンとスマッシュを打てばナックル性のスマッシュが直線的に飛んでいき、ブロックすればこれまたナックル性のボールが飛んでいくため、相手はかなりの高確率でネットに引っ掛けてくれました。

ボールをきちんとこすって打てば、切れたボールになります。

サーブは非常にやりやすいラバーでした。

普通にラリーをすると落ちます。ドライブも、スマッシュも、なぜか落ちます。飛びません。

相手に嫌がられるラバーでした。相手に嫌がられる一方で、自分も使いこなすのが難しく、回転を意識しないとすべての打球がナックル性になってしまう感じでした。

このようなラバーを巧みに操る福岡選手の凄さを、改めて感じました。

バック面 TSP CURL P-3 OX

バック面のラバーは、TSP カールP-3。現在はVICTAS カールP3V(OX)に名称を変えています。

カールシリーズの中では粒が太く短く、変化は小さいけれど安定性のある粒高ラバー。攻撃もしやすいラバーで、初級者から上級者まで使用者の多いラバーです。

攻撃ができないと言われている粒高ラバーですが、福岡選手は練習を積み重ねることにより、粒高でもスマッシュやドライブが打てるようになっています。

私も福岡選手を見習って、粒高だから攻撃できないのではなく、攻撃できるように練習しています。

つぶまる

「粒高=攻撃してこない」と思い込んでいる相手に、粒高での攻撃は相手にかなりのプレッシャーを与えるので効果的。

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