卓球の試合には、100円ショップで買ったラケットや、自分で作ったラケットでも参加できるの?
遊び目的の卓球ならそれでも構わないかもしれませんが、正式な大会において、ラケットは何を使っても良いわけではありません。
卓球大会に出場する際、守るべきラケットに関する規定があります。
ラケットのルール違反は、審判長判断で失格になることがありますので、必ず守ってください。
ラケットの規定は、わかりやすくまとめると以下のようになります。
- J.T.T.A.A.の刻印があること
- ラバーは凸凹なく平坦に貼られており、2mm以上はみ出したり欠損していないこと
- 表面は無光沢で片方は黒、もう片方は黒以外の明るい色であること
本記事では、卓球ラケットの基本ルールと試合に出場する時に注意すべきポイントを詳しく解説します。
ラケットに関する規定がわかれば、大会に向けてラケットを整えて臨めます。
卓球用品専門店で購入した競技用のラケットであれば、ほぼ問題なく試合で使用できます。
J.T.T.A.A.の刻印があること
使用するラケットには、日本卓球協会の公認を受けたことを示す日本卓球協会公認(J.T.T.A.A.:Japan Table Tennis Association Approved)の刻印があるものでなければなりません。
マッチ開始前の審判員によるラケットチェックでは、この刻印を必ずチェックします。
グリップを削って自分の手に合わせる場合、J.T.T.A.A.の刻印だけは絶対に削らないようにしてください。
グリップにテープを巻く場合も、同様に注意してください。
J.T.T.A.A.の刻印がない外国製のラケットを使っているのだけれど、これだと出場できないの。
試合をはじめる前に審判長から許可を貰えば、使用できるよ。
JTTAが未公認の外国製ラケット本体を大会で使用する場合は、競技開始前に審判長の許可を得なければならない。
日本卓球ルール
外国製のラケットで許可をもらえなかったという話は、今のところ私は聞いたことがありません。
ラケットの規定とは
J.T.T.A.A.の刻印があるラケットとは、卓球ルールに則って製作されたラケットであることを示すものです。
ラケット本体に関する規定には、以下のようなものです。
ラケットの大きさ、形状、重量は任意
販売されているラケットって、どれも同じような大きさだからてっきり決まっているものだと思ってたんだけど、違うんだ。
ラケットの大きさ、形状、重量は任意とする。ただし、ラケット本体(ブレード)は平坦で、硬くなければならない。
日本卓球ルール
ですから、卓球協会の公認さえ受ければ、ミニラケットを用いていても、特大ラケットを用いていても、何ら問題はありません。
ラケットのブレード面がボコボコしていたり、ウレタンのような柔らかいものでなければ良いのです。
そもそもラケットがボコボコしていたり柔らかかったりなんてしたら、まともにボールなんて打てませんけどね。
ゆえにこんなラケットでも、日本卓球協会に申請して承認を受けさえすれば、試合に出場できます。
大きなラケットならボールが打ちやすいように思えるかもしれませんが、大きなラケットは取り回しがしづらく、思うようにボールが打てません。
小さなラケットはラケットにボールを当てるのが大変ですが、小回りが効いて使いやすいようです。
誰もが扱いやすいラケットの大きさは、結局のところ、現在販売されているラケットの大きさに集約されているのだと思います。
2021年に開催された世界卓球では、スウェーデンのモーレゴード選手が六角形のラケットを披露し、準優勝しました。
優勝した樊振東選手よりも、モーレゴード選手が使用した特徴的な六角形ラケットに注目が集まりました。
2024年パリオリンピック決勝戦で、またこの対戦カードを観られるとは。優勝は樊振東が勝利しました。
確かに、ラケットの形状に規定はないので、六角形でも何ら問題ありません。
六角形ラケットを使う人を徐々に見かけるようになりましたね。今のところ異質向けは販売されていないようですが。
厚さの少なくとも85%は天然木
ラケット本体の厚さの少なくとも85%は天然木でなければならないということは、残りの15%までなら特殊素材を使用してもO.K.ということを意味します。
特殊素材も厚さの規定があり、1つの層の厚さが全体の厚さの7.5%または0.35mm以下でなければならないと決まっています。
特殊素材の使い方一つでボールの飛び方が大きく変わるので、この規定の範囲内で各卓球用品メーカーは日夜研究をしています。
ラケット本体の厚さの少なくとも85%は、天然の木でなければならない。ラケット本体内の接着層は、炭素繊維、ガラス繊維、あるいは圧縮紙のような繊維材料によって補強することができる。ただしその接着層の1つの厚さは、全体の厚さの7.5%または0.35mm(いずれか小さい方)以下でなければならない。
試合前にラケットの状態をチェックしよう!
ラケットは、ラケット本体のブレードだけでなく、ラバーの状態も重要です。
ラバーに関する規定の詳細については、下記をご覧ください。ここではざっくりと紹介します。
打球面の厚さは4.0mm以下で平坦であること
接着剤を含むラバーの厚さはソフトラバーであれば4.0mm以下、一枚ラバーの場合は2.0mm以下と決まっています。
卓球メーカーから販売されているラバーであれば、規則に則っているので心配いりませんが、貼る時は注意してください。
- 接着剤を厚く塗ったほうがよく飛ぶからと、分厚く塗る人は要注意
- 接着剤の塗り方にムラがあり、凸凹になってしまうことも
- ラバーの一部が剥がれかけているのも、平坦性が損なわれる原因
無光沢の2色(片面は必ず黒)に色分けする
ラケットの片方は必ず黒と決まっており、もう片方は以前は赤と決まっていましたが、他の色でも良くなりました。徐々に赤や黒以外のラバーは発売されつつあります。
ラバーは相手選手や観客から、どの面で打っているのかわかりやすくするために、必ず異なる色で貼り分けることになります。
ペンホルダーは、裏面を赤や黒に塗ります。
ペンホルダー向けに、裏面に貼るシールが販売されています。一枚ラバーやソフトラバーを貼っても問題ありません。
ラケット本体を覆っているラバーの表面、あるいは被覆されていない本体の表面は無光沢で、片方は黒、他方は片方の黒やボールの色とはっきり区別できる明るい色とする。
日本卓球ルール
物理的・化学的処理をしない
2008年に有機溶剤系の接着剤およびブースターの使用が禁止になりました。
ブースターやスピードグルーと呼ばれる補助剤は、現在では禁止にはなっていますが、海外の選手はこっそり使っているのではないかという噂はあります。
ラケットの特性に影響を及ぼすような処置は、何であろうと禁止です。
ラバーが2mm以上はみ出したり欠損したりしていない
ラバーをラケットに貼る時は、ラケットの外周いっぱいに、外にはみ出さないように、また、欠損も2mm以上はN.G.です。
小さい地方大会は問題視されませんが、相手に指摘される可能性はあります。
公認審判員がつくような大きな大会では、当然、指摘されます。
私が見た事例
中学3年生にとって、最後の大会となる中学総体でのこと。
このラケットはラバーが5mmも欠けているから使えません。スペアのラケットを持ってきてください。
どうせ最後の大会だからと、親にラバーを買ってもらえなかったんだけど、これじゃダメなの?私、失格なの?
その時は団体戦。
選手本人だけでなく、審判員、審判長、顧問の先生との話し合いの結果、友人のラケットを借りて試合をすることになりました。
選手は競技領域を離れられないので、観客席にいた友人からベンチにいた友人へとリレーされ、その選手の元へと届けられました。
中学最後の大会を愛用の自分のラケットで戦えず、周囲に迷惑をかけてしまったこともあり、泣きそうな表情。
親の考え方もわからなくもないです。
しかし大きな大会に出場するからこそ、中学生活最後の大会だからこそ、スペアのラバーまたはラケットを用意したり、ラバーを新品のものに貼り替えたりしてあげてください。
VEGAシリーズのラバーは欠けやすいから、注意してね
ラバーが透けてラケットの木目が見えていないか
黒以外の一枚ラバーを使用している場合、透けてラケットの木目が見えてしまうことがあります。
VICTASのカールシリーズは完全に不透明なので赤い一枚ラバーでも透けて問題になったことはありませんが、Dr.NeubauerのDesperadoシリーズの一枚ラバーは透けて木目が見えてしまいました。
ティバーのラケット『幻守』は透けてもいいように、木目が見えないように最初からブレード面が赤色に塗られています。
こんな場合は失格!
試合前にラケットの状態を確認し、すべて合格だったとしても、試合中にこんなことをしたら、こんなことになったら失格になってしまいます。
使用するラケットを試合中に交換
何かのこのラケット、調子悪いな。そうだ!もう1本のラケットと交換しちゃえ!
こんなことをする人なんていないと思いますが、試合中にラケットが破損してしまったという事故がない限り、ラケットの交換は認められません。
1マッチにおいて、競技者が損傷を受けていないラケットを交換した場合、主審は競技を中断し、審判長に報告しなければならない。
日本卓球ルール
このような場合、おそらく審判長は選手を失格にすることになるでしょう。
そのマッチで使用すると決めたラケットが損傷でもしない限り、ラケットを交換することはルール違反です。
試合中にラケットが破損し、予備のラケットをすぐに用意できなかった場合
ゲーム中にラケットを台にぶつけるなどして、ラバーが大きく欠けてしまったり、ラケットが折れてしまったりすることがあります。
こんな時は、スペアラケットを競技領域内に持ち込んでいれば、
- 主審と相手選手によるラケットチェック
- 少し練習
- 試合再開
の流れになりますが、スペアラケットをすぐに用意できなかった場合は、残念ながら失格になってしまいます。
競技者は、1マッチを通してラケットを交換することはできない。ただし、使用に耐えられない程度に誤って破損し場合は、競技領域に持ち込んであった別のラケット、または競技領域内で手渡されたものと交換しなければならない。
日本卓球ルール
誤って破損した場合に交換を認められるものであって、わざとラケットを投げつけて破損させた場合、交換は認められず失格になります。
ローカルの大会であれば、試合中にラケットを傷つけてしまったとしても、審判長と相手競技者が許可さえすれば試合を続行できることがあります。
試合中にラケットを台にぶつけてラバーの端のほうが大きくえぐれてしまったことがありますが、失格にならずに続行させてもらえたことあります。
最後に
ラケットにもいろいろとルールがありますが、卓球専門店で販売されているものは基本的に基準を満たしているものばかりなので、ラケットやラバーを購入する時は、色以外気にする必要はありません。
なにか問題があるラケットだった場合、卓球専門店の人が教えてくれるはずです。
- ラケットにJ.T.T.A.A.のマークがあるか
- ラバーは2mm以上はみ出したり、欠けたりしていないか
- ラバーはちゃんと平坦に貼られているか
この3点だけは、最低限チェックしてね!
さすがに今は、ラケットの両面を同じ色のラバーを貼っている人なんて、いないはず……。
大きな大会に出場する時、ラバーのはみ出しや欠け、凸凹にはじゅうぶん気をつけてください。
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