剛力は、異質ラバーを貼ってプレーする選手のために、作馬六郎氏(王子クラブ代表・Nittaku用具アドバイザー)と共同開発されたラケットです。
ドライブ型選手向けのラケットは多くあるけど、異質型向けのラケットは珍しいね。
そうなの。異質向けのラケットってなかなか良いのがなくて、剛力が販売されると聞いた時は嬉しくて、発売と同時に買っちゃったよ。
2019年のインターハイでは、ベスト8に入った女子選手のうち4人が剛力を使用していました。4人とも異質ラバーを貼った選手たちでした。
剛力はイチオシの異質向けラケットです。
何しろ、
- 硬い
- 重い
- 飛ばない
の三拍子が揃ったラケット。
剛力は受注生産品です。注文から発送まで約3週間ほどかかります。卓球専門店によっては、すぐに手に入るように予め注文しておき、店に在庫として置いてあることもあります。
剛力の概要
異質向けの重量級ラケットの剛力は、本体重量が100g以上ある重量級ラケットです。
メーカー公表値
サイズ | ブレード:160×154mm グリップ:FL 100×24mm |
スピード | ミッド・スロー |
打球感 | ソフト |
合板構成 | 7枚、木材 |
重量 | 100±g |
板厚 | 4.9mm |
個性は武器だ!
バック面にスポンジの薄い異質ラバーを貼ることを前提として「ラケットは重いほうが良い」というスタイルに仕上げました。
バック面の異質ラバーを操り、変化+つかんで弾く力強いスマッシュで相手を翻弄します。
重量級で大きめなブレードは、相手の強打に負けない安定したブロックを生み出します。
個性を磨き、個性を育むことで硬式もラージも勝利を手に入れる!総ウォールナットの7枚合板。
ニッタク公式
粒高や一枚ラバーを貼っても威力を発揮する100g±の重量級。
硬質な材質ながらも、しなりがあり、つかんで弾く力強いスマッシュはまさに剛力。
実際に剛力を手にしての感想
剛力の売りは、
- ラケットの重量
- ブレードの薄さ
にあります。
ラケットの重さ
他のラケットが80~90gなので、100gというラケットは手に持つとしっかりとした重量感を感じます。
他のラケットから剛力に変えた時、それまで使用していたラケットとはあまりにも重量感が違うので、その差に驚きます。
ラケット本体が重いことを強調していますが、異質型はドライブ型に比べて薄いラバーを貼ることが多いです。ラバーを貼った後の総重量を比べると、ドライブ型選手が使用するラケットのほうが重くなります。
ラバーの薄さによる重量不足感をラケットの重さで補っているので、最初は重く感じるかもしれませんが、それほど気になる重さではありません。
なにこのラケット、軽くない?
と、ラケット交換時にドライブ型の選手に言われることあります。
剛力の跳ね返り係数
ラケット本体が「飛ぶ」とか「飛ばない」とか、言葉ではいろいろ表現されています。
しかし言葉は相対的なものでしかなく、使う人の感覚や感想でしかないことがほとんどです。
「飛ぶ・飛ばない」をなんとか数値で表現できる方法はないかと考え、以下のような方法で測定し、数値化してみました。
剛力の跳ね返り係数の測定方法
ラケットを固定し、1m上からニッタクのスリースター球を落下させ、何cm跳ね返ってきたのかを計測。
10回試行し、ラケット周辺部にあたったものを除き、その平均値を求めました。
回数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
高さ(cm) | 48 | 46 | 47 | 48 | 48 | 48 |
(カメラがちょっと斜めになっていますが、気にしないでください)
剛力の跳ね返りは約48であることが分かりました。
ドライブ型の選手が使用するラケットに比べると、たしかに「飛ばないラケット」の部類に入ります。
私の手持ちのラケット(幻守、オールラウンドエボリューション、バイオリン、セプティアー)の中で比較すると、48は「飛ぶラケット」でした。
剛力が異質型プレーヤー向けだと言われる理由
異質型プレーヤーが選ぶべきラケットの特性は以下の通り。
- 粒高の変化を活かすにはラケットは硬いほうが良い
- 重い球を受け止めるためには重いほうが良い
- 飛ばないほうが良い
剛力はこれらの特性を備えています。
- 硬い
-
ラケットが硬いと、粒が倒れやすくなり、変化が大きくなります。
- 重い
-
異質型プレーヤーは薄いラバーを貼るので、ラケット総重量が軽くなってしまいます。軽いラケットはネット際のプレーはしやすくなりますが、相手の重い球を抑え込むことが困難になるので重いラケットにします。
- 飛ばない
-
異質型プレーヤーは台に近い前陣でプレーをするので、飛ぶラケットではボールが制御できなくなってしまいます。
これらすべてを兼ね備えるラケットは、なかなかありません。
ラケット厚が4.9mmと薄い上にラバーも薄いラバーを貼ることが多いかと思います。一般的な1.0mmのサイドテープを使用するとはみ出してしまうので、サイドテープを使用するさいは、8mmのものをオススメします。
剛力を実際に使用してみた
いつも使っている私の愛用ラケットですが、久しぶりに他のラケットでも打ってみたので、感じた違いを改めて整理してみました。
VICTAS カールP3V
- ブロック
-
ラケットが硬いため粒がしっかり倒れて変化が大きく、また飛びすぎないために、安定して相手コートに打ち返せます。
- ミート打ち
-
ラケットの重さの分だけ、ボールに威力が出ます。
剛力のデメリット
剛力のメリットばかり紹介しましたが、やはりデメリットもあります。
- 軽量ラケットから急に変えると、肩や肘を痛める可能性がある
- 値段が高い!
ドライブ型選手が使用するラケットよりも総重量は軽いのですが、軽量ラケットから乗り換えた場合、ラケットの重さに筋力がついていかずに痛める可能性があります。
毎日卓球の練習をしていれば筋力がついているので、問題はありません。
毎日素振り練習をすれば、この問題は解決できそうです。
剛力は、重さよりもそのお値段(約30,000円)のほうが一番のネックかも知れません。
剛力のご購入は、店舗よりもネット購入が断然お得!
剛力を使用している選手
剛力を生みの親である作馬六郎氏は、大阪の王子クラブで四天王寺中高生を指導していることもあり、剛力使用者には四天王寺高校出身者が多くなっています。
ここでは、剛力を使用している一部の選手を紹介します。
阿部愛莉選手
阿部愛莉選手は、現在日本リーグのデンソーに所属している選手です。
阿部愛莉選手が使用していたニッタク特注ラケットが剛力であり、阿部選手が2013年のインターハイでシングルス優勝したことにより特注ラケットが「剛力」として販売されるようになりました。
現在剛力が世に出ているのは、ある意味阿部選手のおかげとも言えるのではないでしょうか。
出澤杏佳選手
出澤杏佳選手は、現在専修大学に所属する大学生選手。
2019年度全日本ジュニア選手権のシングルスで優勝し、一躍時の人になりました。
現在、異質攻守型選手の代表格といったら、出澤選手といっても良いくらいの選手です。
剛力ラケットのまとめ
剛力は、値段は高いものの、
- 硬い
- 重い
- 飛ばない
と、前陣異質型にとって嬉しい特徴が三拍子揃ったラケットです。
裏ソフトラバーとの相性
粒高ラバーとの相性
VICTAS カールP3V | VICTAS カールP1V | Butterfly フェイント OX | ヤサカ Phantom007 | |
---|---|---|---|---|
ブロック | 4 | 4.5 | 4 | 5 |
カットブロック | 4 | 5 | 4 | 3 |
プッシュ | 4 | 4 | 4 | 4 |
ミート打ち | 5 | 3 | 3 | 4.5 |
購入 |
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剛力はこんな人にオススメ
- 卓球のレベルは中級者以上
- 薄い異質ラバーを貼って、変化を活かしたチャンスメークしたい
- 前陣に構えてブロックやスマッシュを多用するよ
前陣に張り付いて、ブロックやスマッシュを多用する選手向けです。
剛力を使用する選手に女子が多いのも納得。
剛力をおすすめできない人
- 初級者
- 引き合い大好き人間
癖が強いラケットなので、初級者にはオススメしません。
初級者用のラケットで、一通り基本技術を身につけた選手が使用するようなラケットです。
また、基本的に飛ばないラケットなので、後ろに下がって引き合いをするようなプレーヤーには向きません。
男子で使用している選手は少ないのもうなずける
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