オーストリアのアメリー・ゾルヤ選手はフォア面にアンチラバー、バック面に変化系表ソフトラバーを貼った珍しい異質攻守型の選手。
特に変化系表ラバーを駆使して相手の攻撃を粘り強くいなし、じわじわとプレッシャーをかける独自の戦術は相手選手をかなり苛つかせます。
アメリー選手の母は元卓球のブンデスリーガ、父も何度かプファルツ選手権大会で優勝したことのある選手、妹もブンデスリーガという卓球一家。
東京オリンピック混合ダブルス水谷・伊藤ペアが奇跡の大逆転をした時の相手、ドイツのペトリッサ・ゾルヤ (Petrissa Solja) 選手はアメリーの妹だよ。
ちなみに妹のペトリッサ・ゾルヤ選手は、姉のアメリーと違って裏裏の正統派攻撃スタイルです。
姉妹で国が違うなんてことがあるんだ?!
アメリーも以前はドイツの代表選手として活動していましたが、2011年からはオーストリア代表選手として活躍しています。
ちなみに、ランキングは妹のほうが上。
本記事では、アメリー・ゾルヤ選手の
- 主な実績
- アメリー・ゾルヤ選手のプレーの特徴
- アメリー・ゾルヤ選手の使用用具
について紹介します。
アメリー・ゾルヤ選手の実績
2012年のロンドンオリンピックでは、オーストリア代表選手として団体戦に出場しています。
世界ランキング
部門 | ランキング | 部門 | 最高ランキング | 取得時期 | |
---|---|---|---|---|---|
シニア | 2024年第46週 | 324 | シニア | 47 | 2014年10月 |
女子ダブルス | 2024年第46週 | 418 | 21歳以下 | 18 | 2008年1月 |
混合ダブルス | ジュニア | 4 | 2008年2月 |
主な戦績
2006年にドイツ代表選手としてデビュー。
2007年にはドイツ選手権のダブルスで優勝し、世界ユース選手権でシングルス3位になっています。
アメリーゾルや選手がドイツ代表としてプレーしたのは2008年までで、その後オーストリアのTTCヴィラッハ(Villach)に移籍し、2011年にオーストリア国籍を取得。
以後、オーストリア代表選手として国際大会に出場するようになりました。
開催年 | 大会名 | 部門 | 順位 |
---|---|---|---|
2005 | ヨーロッパジュニア選手権大会 | カデット女子ダブルス | 優勝 |
2006 | ヨーロッパジュニア選手権大会 | 女子ダブルス | 優勝 |
2006 | ジュニア世界選手権大会 | 女子シングルス | 3位 |
2006 | プロツアー・スロバキア大会 | 女子ダブルス | 3位 |
2007 | ヨーロッパジュニア選手権大会 | 女子シングルス | 準優勝 |
2007 | ジュニア世界選手権大会 | 女子シングルス | 3位 |
2007 | ジュニアサーキット・スペイン大会 | 女子シングルス | 準優勝 |
2007 | ジュニアサーキット・ポーランド大会 | 女子シングルス | 3位 |
2008 | ジュニアヨーロッパ選手権大会 | 女子シングルス | 準優勝 |
2008 | ジュニアヨーロッパ選手権大会 | 女子ダブルス | 準優勝 |
2008 | ジュニア世界選手権大会 | 女子シングルス | 準優勝 |
2008 | ジュニアサーキット・チュニジア大会 | 女子シングルス | 3位 |
2010 | プロツアー・モロッコ大会 | 女子ダブルス | 3位 |
2022 | WTTフィーダー・デュッセルドルフ | 女子ダブルス | 準優勝 |
アメリー・ゾルヤ選手のアンチスピンを活かしたプレースタイル
アメリー・ゾルヤ選手はもともとバック面にアンチ粒高を貼っていた選手でした。
2008年7月にアンチ粒高は使用禁止になったため、その後はフォアハンドに表ソフトラバー、バックハンドにアンチスピンラバーを使用する独特の「異質攻守型」になりました。
そして現在は、フォアハンドにアンチスピンラバー、バック面に変化系表ソフトラバーと、さらに珍しいプレースタイルになっています。
使用する用具を見るだけで、飛んでくるボールの球質が普通ではなくやりづらいことが想像できるね。
フォア表、バックアンチというひじょうに珍しいスタイルがゆえに、その球質変化にほとんどの相手は苛つきます。本当に苛つきます。
こういう相手に対し、苛ついたら負けです。
コメント欄には
- ゾルヤ選手に負けたのではない。ゴムに負けたのだ。
- 試合後は、精神科にかかる必要があるかも。
といった言葉が書き込まれています。
バックハンドでのプッシュとブロックによる粘り
アンチスピンラバーを使用しているため、相手のスピンを相殺したり、微妙な変化を加えたりすることが可能。この変化を読みにくい特性が、相手にとって非常に厄介です。
アメリー・ゾルヤ選手は相手の攻撃を大きな緩急をつけながら簡単に打ち返しているように見えますが、
アンチラバーを使ったことあるけど、扱いがとっても難しいんだよね。
フォアハンドの表ソフトラバーによる速攻
フォアハンドには、相手のボールにすぐに反応しやすい表ソフトラバーを使用し、速いテンポで攻撃を仕掛けます。
あまりフットワーク力がないことと、フォアの決定力に欠けるのが残念ですね。
スマッシュというよりも、
球質がいやらしいだけでなく、フォアでもバックでも、足を鳴らして打つ癖があるようで、その音に対しても相手選手が苛ついている自滅する場面もよく見られます。
床材に音があまり響かないものを使用している大きな大会の時は気になりませんが、普通の体育館の床ではかなり気になる音です。
床を踏み鳴らして大きな音を出す行為は、バッドマナーとしてイエローカードがとられることがあります。程々にしましょう。
ひたすら粒高で返すペン粒選手のように、ひたすらバック面のアンチラバーで返球し、たまにフォアを決める基本スタイル。
アメリー・ゾルヤ選手の使用用具
フォア面にアンチスピンラバー、バック面に変化系表ソフトラバーを使用しているので、球質変化のエグさが使用する用具だけで分かります。
あの孫穎莎ですら、アメリー・ゾルヤ選手の変化に、イライラしながら時々引っかかっています。
Dr.Neubauerの契約選手なので、用具はすべてDr.Neubauerで揃えてあります。
ラケット:Dr.Neubauer TITAN
片面に粒高ラバーやアンチスピンラバーといった異質系ラバーに特化し、コントロール性を重視したという7枚合板のラケット。
バルサ材を使用しているため平均65gという軽量級ラケットで、ブレード厚も10mmあります。
スピード・フォアハンド | 87 |
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スピード・バックハンド | 70 |
コントロール | 100 |
硬度 | 87 |
重量 | 65g±5 |
グリップ形状はストレートやフレアだけではなく、珍しくアナトミック形状もあります。
片面に異質ラバーを貼る選手に特化させたラケットという触れ込みがあるだけに、フォアハンド側とバックハンド側で弾みを変えているという変わった特徴があります。
昔、松下浩二選手がメーカーに両面で特性の違うラケットはできないかと相談した時、バランスが崩れるからという理由で断られたということがあったそうですが、Dr.Neubauerはそれを実現させています(参照:『白球に賭けた卓球人生』)。
フォア面:Dr.Neubauer バッファロー
前陣で戦う選手のフォア面向けに開発されたアンチスピンラバー。
フォア面にアンチラバーって、意外すぎる!意外すぎて、どう対応して良いのかわからん!
スピード | 65 |
---|---|
破壊効果 | 100 |
コントロール | 83 |
摩擦力がないため相手の回転の影響を受けることはないですが、インパクトを強くすることである程度切ることはできるらしい。
板感半端ないアンチスピンラバーです。
バック面:Dr.Neubauer キラー 1.5mm
縦目の変化系表ソフトラバー。
スピード | 94 |
---|---|
効果 | 80 |
コントロール | 84 |
コントロールは難しいが、アタック8に比べるとスピードがあり、いい意味で嫌らしいいい球が出せるらしいです。
コントロールの難しさから、かなり上級者向けの攻撃向けの変化系表ソフトラバーです。
コントロール性能の高いラケットに、コントロールの難しいラバーでバランスをとっているのかな?
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