
いつも通りにサーブのトスを上げただけなのに、なぜかフォルト(反則)を取られた。なんで?
そんな経験はありませんか?
相互審判の試合では問題にならなかったのに、公認審判員が入った途端にサーブでフォルトを取られる原因の多くは、卓球サーブのルール、特にトスに関する規定が守られていないからです。



またフォルトを取られたらどうしよう。
一度注意を受けると不安になり、本来のプレーができなくなってしまう選手を、私は審判員として何度も見てきました。
特に中高生の場合、指導者が正しいサーブの出し方を指導しておらず、下記のようなサーブトスの細かな規定まで理解していないケースが多いのが実情です。
- 16cm以上トスが高く上がっているか
- ほぼ垂直に上がっているか
- 台より高い位置から上がっているか
卓球のサーブには明確なルールがあり、ポイントさえ押さえればフォルトは確実に防げます。
本記事では、卓球サーブのトスに関するルールと、実際にフォルトを取られる具体例を審判員目線で分かりやすく解説します。
サービスに関するルールはトス以外さまざまなものがあります。ルール全体に関しては、こちらで解説しています。


卓球サーブのトスに関する基本ルール


卓球のルールではサービストスについて、以下のような明確な基準が定められています。
- 手のひらの上で静止
-
指の上ではなく、開いた手のひらの上に置く。
- プレーイングサーフェスより上、かつエンドラインより後方
-
ボールが台の下やエンドラインより前に入ってしまっていないか
- 16cm以上投げ上げる
-
手のひらから離れて、ネットの高さ(約15.25cm)以上に上げる
- ほぼ垂直に上げる
-
斜めに投げてインパクトの位置を調整するのはNG
- ボールを隠さない
-
投げ上げたボールを手や衣類などで相手から見えないようにするのはNG
「そんなこと分かっているよ」と思うかもしれませんが、試合の緊張感の中で崩れてしまうこともあります。
実例!よくある違反5パターン


性別や年代によって、陥りやすい違反傾向があります。自分のクセに当てはまっていないか、チェックしてみましょう。



注意した直後は直るのですが、試合に熱くなるとついついいつものクセで違反トスになりがちなので、日頃から正しいサーブトスを練習しておこうね。
斜めトス:ほぼ垂直に!!
斜めトスは男子中高生に多い違反トス。
自分の体から遠く離れた位置で構え、自分の立っている位置に向かって斜めに投げ上げ、サーブのインパクトをする場所は体のすぐ近く。
明らかに意図的に斜めに投げ上げています。
まっすぐ上に投げ上げているつもりでも、ついつい斜めに上がってしまうのが普通。
だからといって意図的に斜めに上げるのは良くありません。できるだけまっすぐ上に上げましょう。
かつてはボールを投げた場所からインパクトの場所までの距離の長さで違反かどうか判断されていましたが、現在は投げ上げたときの角度で違反かどうか判断されています。
審判実務では、明らかに横方向へ動くトスはフォルトの対象になります。ルールに具体的な角度の数値はありませんが、少なくとも「ほぼ垂直」と言える軌道であることが必要です。



許容範囲となる角度は対象となる試合や審判員によって異なりますね。甘めに判定することもあれば、厳しく判定するとこともあります。
だからこそ、ギリギリを狙うのではなく、誰が見ても“ほぼ垂直”と分かるトスを心がけてください。
高く上げれば垂直軌道になりやすい!


サービストスはサーブを打ちたい位置を狙って投げ上げると思います。
トスを高く上げれば上がるほど軌道が垂直に近づき、審判からの印象も良くなります。
- 16cm以上
- 垂直
高く上げられたトスはこの2つを同時に満たします。
台下トス:プレーイングサーフェスよりボールを下げない!
これもフォルトを取られがちなサービストス。
ボールを高く投げ上げる筋力がまだない小中学生に多い傾向があります。
プレーイングサーフェスより高い位置からトスを上げるために、台に腕や指を置いて構えるところまでは良いのですが、ボールを高く上げようと反動をつけるあまり、無意識のうちに手を下げてしまうクセのある人は要注意!
特に台から離れた位置でサーブを出す人は、手が下る傾向が特に強いです。


台上トス:エンドラインより後ろから出そう!
ダブルスの時によく見られる傾向があります。
ダブルスはサーブを出す場所が決まっています。また、ダブルスパートナーが近くで構えているため、スペースに気を使います。
そのためでしょうか?
サーブを出す時に手のひら全体を台の上に載せたり、エンドラインより前方に手をおいたりして、そこからサーブを出そうとしてフォルトになることがよくあります。
構える時、手を台の上に乗せることは違反ではありません。
サーブを出す時、手を台の中に入らないようにエンドラインより後方に出し、そこからトスを上げれば違反ではありません。



シングルスではちゃんとできていたのに、ダブルスになった途端にできなくなる中高生が県大会レベルで結構いるんだよね。
サーブを出すとき台に指や腕を引っ掛けるのには理由がある
トッププレーヤーたちがサーブを出すとき、ボールをのせた手の親指や腕(ただし、手のひらはのせない)を卓球台のエンドライン上に引っ掛けているのを見たことがありませんか?
あれは、
に行っている所作です。
- 指を引っ掛けていれば、投げるとき引っ掛けた指が邪魔になって台より下にボールが下がってしまうことを防げます
- 腕の部分を台の上にのせた状態から打てば、台から下にボールが下がってしまうことを防げます
トップ選手たちはちょっとした工夫で、ついうっかり違反トスになってしまうことを防いでいます。
ぶっつけサーブ:トスは手のひらを離れてから16cm以上!
ベテラン層に多い違反トスです。
1987年のルール改定で、トスの高さが16cm以上と規定されました。サーブの公平性と可視性を向上する目的で導入されたものです。
同時に、ボールを体や腕で隠す行為も禁止されました。
以前はトスの高さに明確な規定はなく、選手によっては極端に低いトス(ボールが手を離れたと同時に打つ)も見られました。



私が高校生の時にこのルール変更があって、猛練習したのをよく覚えているよ。
中高生時代に卓球をやっていた人がルール改正を知らなかった、あるいはどうしても昔のクセが抜けずに犯しがちなルール違反です。
今からでも、練習すれば直ります。
ここに注意!手を高く上げない
ボールを投げ上げる時、手も一緒について行ってしまい、実質的に16cm以上トスが上がっていない事例もよくあります。
本人は16cm以上上げているつもりかもしれませんが、手のひらを離れてから16cmです。
ボールに回転を与えない
トスを上げる時、手を真上ではなく、すくい上げるような挙動をする人がいます。
このような投げ上げ方はボールに回転がかかってしまうため、「ボールに回転を与えた」として、フォルトになります。
ボールをそのまま真上に押し出す感覚で投げ上げてみてください。
サーブトス!審判はどこを見ている?


審判は「打球の瞬間」だけでなく「動きの初動」を注視しています。
サービスが出される時、サービスには細かいルールがあるため、審判は最も集中し、神経を使います。
- サーバーが構えた時
-
ボールを載せた手のひらがどこにあるか、注意して見ています。
手のひらに載せたボールがプレーイングサーフェスの上にのっていたり、エンドラインの前方にあった場合、その場所から投げ上げたりしないか、注視しています。
- トスを上げた瞬間
-
投げ上げたその手の動きを注視しています
- 斜めに動いている→回転をかけている?
- 前方に動いている→ボールを隠している?回転をかけている?
- ボールの軌道
-
- 16cm以上上がっているか
- ほぼ垂直に投げ上げられているか



違反が「無意識のクセ」なのか「故意の悪質なのか」も、実はしっかり見て判断しているよ。どちらもフォルトに変わりはないけどね。
まとめ:ルールを味方につけてメンタルを守ろう
本記事では、以下のサービストスに関するルールの一部(太字)を解説しました。
1.6.2
サーバーは、その後すぐに、ボールがフリーハンドの手のひらから離れた後、16cm以上上昇し打球される前に何ものにも触れずに落下するように、ボールに回転を与えることなくほぼ垂直にボールを投げ上げなければならない。1.6.4
サービスが開始されてから、ボールが打たれるまでの間、ボールは常にプレーイングサーフェスよりも高い位置で、かつサーバー側のエンドラインの後方になければならない。またその間、サーバーまたはダブルスのパートナーの体の一部または着用しているもので、ボールをレシーバーから隠してはならない。
『日本卓球ルールブック 2025』より
審判の仕事は、選手が公平に試合を行えるようにすることです。ルール違反は注意をしなければなりませんし、場合によっては相手に点を与えなければなりません。



できることなら、フォルトなんて取りたくないよ。
サーブトスの違反は、特別な技術が足りないから起こるのではありません。
多くは「無意識のクセ」が原因です。
- 16cm以上上げる
- ほぼ垂直 に
- 台より上、エンドラインより後方
この3点を常に意識するだけで、違反トスによるフォルトのリスクは大きく減らせます。



フォルトを取られたらメンタル崩れちゃって、そのまま試合にも負けちゃった
試合で突然止められて動揺しないために、常日頃からサーブ練習をするときに、サービストスも意識して正しく上げられるようにしましょう。




















コメント
コメント一覧 (2件)
知りたいのは、手のひらを台の上にのせてボールを静止させてから、手を動かし始めてボールを上げますが、動かしてボールが離れた後でも手は上昇しボールの方向へついていきます。
その際、手を上げきった位置とボールの間には16センチ以下の距離になってしまう事が多く、それがフォルトになってしまうケースがあります。ボールが静止した高さから明らかに16センチ以上上がっているのにそういうのはダメなのでしょうか。教えて下さい。
ボールが静止した高さから16cm以上ではなく、ボールがフリーハンドを離れてから16cm以上です。
また、手が一緒についていってしまった場合、手の位置によってはボールを手で隠したとされることがあります。