卓球の試合において、最初の一打となるサーブはひじょうに重要。
しかしサーブには細かなルールが多く、知らず知らずのうちに違反を犯してしまうことも少なくありません。
実際に審判をしていると、多くの違反サーブを目撃しますし、指摘します。
- なぜ自分のサーブが違反なのか分からない
- 試合中にサーブを指摘されて自信がなくなった
という経験のある人もいるではないでしょうか。
フォールトを取られて、試合のリズムだけでなく、メンタルまで崩してしまう選手もいます。
本記事では、卓球のサーブに関する基本的なルールから、よくある違反について徹底解説します。
ルールを正しく理解していれば、戸惑うことなく自信を持って正しいサーブが打てるようになります。
監督やコーチの中には、「正しいサーブとはなにか」を理解していないこともあり、クレームになることもあります。
本記事でしっかりと正しいサーブとはどんなサーブなのか理解し、正しいサーブを出せるようになってください。
サーブのルール
卓球のサーブは、サーバーがラケットを使ってボールを相手コートに打ち込む最初の一打。
試合の進行において重要な役割を果たし、ルールに従って正しく行うことが求められます。
サーブは1球目攻撃でもあり、ポイントを獲得するための初動。その成否が試合の流れを左右することさえある大切な打球です。
ですから、つまらぬ違反で相手にポイントを与えてしまわないためにも、サーブのルールについて理解しておきましょう。
間違った出し方で覚えちゃうと、修正するのは大変だよ。正しい出し方を練習して、体に覚え込ませてね。
サーブの正しい手順
卓球をしている人なら自明のことなので、今さら言うまでもないことですが、サーブの場合、ボールは自分のコートに一度バウンドさせてから相手コートにバウンドさせます。
- まず、サーバーはボールを手のひらに乗せて静止させます。
- 次に、ボールを少なくとも16cm(約6インチ)以上の高さにまっすぐ垂直に投げ上げます
- ボールの落下途中をラケットで打ちます。
サーブに関する具体的なルール
試合が公平、公正に行われるために、サービスに関しては以下のような細かなルール規定があります。
- フリーハンドの手のひらを開き、静止する
- ボールをまっすぐに16cm以上あげる
- ボールは常にエンドラインの後方、プレーイングサーフェスの上
- 相手にボールが見えるようにする
- ダブルスの場合のサーブ
- トスしたボールをキャッチしない
気をつけなきゃいけないことが、結構たくさんあるね
練習を重ねて体に覚え込んでしまえば、違反サーブをするようなことはほとんど無くなるよ。練習しないとできないけどね。
フリーハンドの手のひらを開き、静止する
フリーハンドの手のひらを開き、その上につかむことなく自由に転がる状態でボールをのせ、静止させる。この状態からサービスは開始される。
日本卓球ルール2022
ボールを指で掴むなんてもってのほか。手のひらを開いて、手のひらの真ん中に乗せてください。
ボールは指の上ではなく、手のひらの上に乗せてください。そして、投げ上げる前に、少し静止してください。動きながら打ってはいけません。
サーブを出す構えをすると同時にすぐにサーブを打つ選手がいますが、静止したことにはなりません。
サーブを出す構えをしたら、心の中で3秒数えてから打つとちょうど良いよ。
ボールをまっすぐに16cm以上あげる
サーブを行う際、ボールを16cm以上の高さに垂直に投げ上げなければなりません。
これは、サーブが公平に行われることを保証するためのルール。
ネットの高さが15.25cm。審判員はネットの高さを参照にボールの高さを判定しています。
また、投げ上げるときにボールを回転させる行為は禁止されており、ボールの軌道が一定であることが求められます。
ボールに回転を与えることなく、ボールがフリーハンドの手のひらから離れた後、打球される前になにものにも触れずに落下するように、16cm以上ボールをほぼ垂直に投げ上げなければならない。
日本卓球ルール2022
斜めに上がっていたり、高さが足りないときはフォールトとなり、相手選手に1ポイント加算されます。
年配の方は高さが足りなかったり、中高生は斜めに上がっていたりする違反が多いです。
ボールは常にエンドラインの後方、プレーイングサーフェスの上
サーブを行う際、ボールはサーバーの手のひらの上に静止させ、相手から常に見えるようにしなければなりません。ボールは常にエンドラインよりも後方にあり、プレーイングサーフェス(台)より上に出ていなければなりません。
これにより、相手がボールの動きを正確に把握でき、公平な試合が行われます。
卓球台のエンドラインに親指を当てているということは、必ずボールは台より上、エンドラインよりも後方になります。
小さな小学生や幼稚園児が、バンビ台ではなく普通の高さの卓球台で打つと、卓球のサーブというよりもテニスのサーブのような感じになっていることがあります。
サービスが開始されてから、ボールが打たれるまでの間、ボールは常にプレーイングサーフェスよりも高い位置で、かつサーバー側のエンドラインの後方になければならない。またその間、サーバーまたはダブルスのパートナーの体の一部または着用している物で、ボールをレシーバーから隠してはならない。
日本卓球ルール2022
構えるときは台より上に手があるのに、投げる時に弾みをつけるために手が台より下になってしまう小中学生の多いことよ
相手にボールが見えるようにする
ボールが手のひらから離れたら、すぐにフリーアームとフリーハンドを、ボールとネットとの間の空間の外に出さなければならない。
日本卓球ルールブック2022
ルールブックにはすぐには理解できないようなわかりにくい表現がされていますが、要は「ボールを手で隠すな」ということです。
サーブを打つ瞬間まで、ボールが相手選手に見えるようにしなさいということです。
ダブルスの場合のサーブ
シングルスとダブルスでは、サーブのルールにいくつかの違いがあります。
シングルスでは、サーブを打つ際にどのコートに打ち込んでも構いませんが、ダブルスでは、サーブは必ず右側のコートから対角線上の相手の右側コートに向けて打たなければなりません。
ダブルス競技では、そのボールが最初にサーバーのライトハーフコートに触れ、続いてレシーバーのライトハーフコートに触れなければならない。
日本卓球ルール2022
センターラインを超えてしまうとフォールト(Wrong side)となり、相手の得点になってしまいます。
センターラインギリギリの際どいところに落ちたボールは、判定が難しく、審判泣かせです。
トスしたボールをキャッチしない
一度トスしたボールをキャッチすると、相手の得点になってしまいます。
ボールがフリーハンドの手のひらから離れた瞬間から、ラリー開始でインプレーの状態になります。
ボールが「インプレー」とは、ボールがサービスにおいて投げ上げられる前に、フリーハンドの手のひらに静止した最後の瞬間から、ラリーがレットまたはポイントになるまでの間をいう。
日本卓球ルール2022
一度トスを上げたのなら、何が何でもとりあえず打ちましょう。
人が通りかかったときも、とりあえず打って審判判断を待ったほうが得策です。
私は一度やらかしたことがあります。
だめなサービスの出し方の例
上の写真は、だめなサービスの出し方というか、だめなサービスの構えというか……。どこをどう突っ込んで良いのやら。ツッコミどころ満載なフリー画像です。
ここまで読んだあなたなら、この写真のどこがいけないのか、もうおわかりですよね。
- 指でボールを掴んでいる
- ラケットハンドもフリーハンドも、エンドラインより内側
ボールは開いた手のひらの上でなくてはいけませんし、ラケットを持つ手もボールを持つても台のエンドラインよりも後方に下がっていなければいけません。
特例措置
身体障害者の場合、主審判断でサーブのルールは緩和されます。
世界卓球やオリンピックなどで、片手がない選手がラケットを持っている手にボールをのせてトスをあげたり、肘の少し先から手がない選手が肘にボールをのせてトスを上げる姿を見かけます。
オリンピックとパラリンピックの両方に出場していたポーランドのパルティカ選手
両手を欠損しているエジプトのエルフセイニ・ハマドトゥ選手は、口でラケットを咥え、足でボールを投げ上げて卓球をする姿が話題になりました。
足でトスを上げるエジプトのエルフセイニ・ハマドトゥ選手
手がなくても卓球ができることには、驚きました。
まとめ
卓球におけるサーブは、試合の流れを左右する重要な要素。
しかし、サーブには細かなルールが多く、違反を犯しやすいポイントでもあります。
本記事では、サーブに関する基本ルールとよくある違反ついて解説しました。
サーブ違反を防ぐためには、正しいサーブとはなにかを理解し、練習を重ねることが必要です。
特に、
- ボールの投げ上げ方
- サーブ時の手の位置
は違反しやすいポイント。
正しいサーブが出せるように練習を重ねることで試合での不安を軽減され、より自信を持ってプレーできるようになります。
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