卓球の試合中、「レット(Let)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
レットはラリーの途中で発生する特定の状況により、そのラリーを無効にし、もう一度やり直すという重要なルールです。
しかしレットの具体的な発生状況や正しい運用方法を理解している人は、意外と少ないかもしれません。
本記事では、レットに関する基礎知識や具体的な事例、適用方法などについて詳しく解説します。
レットになる状況としてすぐに思いつくのは、
- ネットコードサービス(いわゆるネットインサーブ)
- 競技状況の乱れ
などではないでしょうか。他にもレットになる条件はいろいろありますので、それらについても詳しく解説します。
本記事を読めば卓球ルールをより深く理解でき、公平なプレーしたり審判をしたりする時の自信に繋がり、より卓球が楽しくなります。
レット(Let)とは?
レットは試合を公正に保つために設けられた重要なルールの一つです。
卓球のラリー中、特定の状況が発生した際にそのラリーを無効にし、もう一度やり直すことを指します。
レットは下記のような利点があり、試合の公平性を保つために重要な要素です。
選手たちがより良いパフォーマンスを発揮する環境を整えるために欠かせません。
- 公正なプレーの維持
どちらか一方の選手が不利になるような状況を無効にすることで回避し、公平な条件でラリーを再開します。 - トラブルの防止
予期せぬ事態が発生した時、プレーを中断を宣告することでトラブルを未然に防ぎます。 - 車椅子選手への配慮
車椅子を使用する選手には、特別なルールが存在します。車椅子選手でも公平にプレーできるように配慮されています。
レットが発生する具体的状況
例えば、以下のような状況になった時、レットになります。
- サービスがネットに触れて相手コートに入った場合
- レシーバーがまだ準備できていないときにサーブが行われた場合
- 審判がラリーを中断する必要があると判断した場合
- 車椅子を使用している選手が特定の状況に直面した場合
なお、レットに回数制限はありません。レットを10回繰り返そうとも、点数は変わりません。
ネットコードサービス(いわゆるネットインサーブ)
レットになる最も多い事例ではないでしょうか。
ネットコードサービスとは、ネットアセンブリ(ネットおよびネットの支柱)に触れてから、相手のコートに入ることをいいます。(相手のコートに入っていない場合はフォールトとなり、相手のポイントになります)
この場合サーブは有効とされず、サーバーは再度サーブをやり直します。
ネットに触れることでボールの軌道が変わり、レシーバーにとって不利になる可能性があるため、レットが宣告されます。
ネットに触れたかどうかの判定が難しいときがあるんですけど、ボールの軌道の変化で触れたかとどうか判断することはよくあります。
サービスの際、正しく出されたサービスがサーバーのコートでバウンドした後、ネットアセンブリに触れて相手コートに入った場合、あるいはネットアセンブリに触れたボールが、レシーバー(またはパートナー)によって「オブストラクション」された場合。
日本卓球ルール
ネットに触れたボールを台から出た後にキャッチすれば問題ありませんが、
ネットに触れたボールが台から出てアウトになりそうだから取っちゃえ
と、台(プレーイングサーフェス)から出る前にキャッチしてしまうと「オブストラクション」になってレットになります。
アウトになりそうなボールをそのままにしておけばポイントになったのに、オブストラクションするとレット。
ネットに触れたからといって、迂闊に触るのはやめましょう。
レシーバーがまだ準備できていない時
レシーバーがまだ準備できていない状態でサーブが行われた場合、レットが宣告されます。
ただし、レシーバーが全くボールを打とうとしなかった場合で、レシーバーが明らかに準備不足であると審判が判断した場合に限られます。
レシーバーがある程度準備できていると判断された場合は、サーブが有効となり、レシーバーのミスとしてカウントされます。
レシーバーはまだ準備ができていないことを示すために、手を上げてアピールします。
レシーバーが手を上げてまだ準備中であることを示しているのに気づかず、サーブを出してしまってレットになったこと数知れず……。
審判による判断
審判がラリー途中で競技を中断すると判断した時はレットになります。
- 選手が競技を続けられない状況になった時
- 選手またはアドバイザーに注意や警告を出す時
選手が競技を続けられない状況とは、相手の選手がネットコードサービスと判断して手を挙げた場合などです。
しかしこの場合、本来は主審がレットを宣告して手を挙げるまでプレーを続けなければ、ポイントになってしまいます。
選手またはアドバイザーに警告を出す時について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
車椅子の場合
車椅子を使用する身体障害者の場合、特別なルールが適用されます。
- サービスがコート上に止まる、あるいはネット方向に戻るようにバウンドした
- シングルスで、サービスがサイドラインを横切った
健常者はあまり関係ないかもしれませんが、届く範囲の限られる車椅子選手が楽しく公平にプレーするために設けられた特別ルールです。
その他特殊なケース
意外とよくある特殊ケース。
- 促進ルールを適用する場合
- 観客による妨害
- ラリー中、サーブ・レシーブ・エンドの誤りに気づいた時
観客による妨害
観客がフラッシュを焚いたり、びっくりするぐらいの爆音を出したりしたときなど、レットになります。
ラリー中、サーブ・レシーブ・エンドの誤りに気づいた時
ダブルスの時にやりがちです。
順番のミスに気がついた時のラリーはレットになりますが、それ以前のポイントは有効です。
順番を間違えていたからといって、ポイントが無効になることはありません。
レットが適用されたときの流れ
レットになる状況が発生したら、審判と選手は適切に、直ぐにプレー再開に向けて対応しなければなりません。
審判は右手を高くあげ、「レット」と宣告します。
手をまっすぐ上に上げる動作は、選手及び観客に、レットであることを明確に知らせるものです。
観客やベンチの声援により、審判の声がかき消されてしまうことはよくあります。レットのジェスチャーがあれば、こうしたうるさい状況でも選手や観客にレットを示すことができます。
レットになった理由を説明は、必要に応じてなされるもので、レットの理由が選手や観客にも明らかな場合は説明しません。
しかしサービスの高さが足りなかった、トスする時フリーハンドが台(プレーイングサーフェス)より下がったなど、わかりにくい場合はジェスチャーで説明します。
選手が小中学生でまだルールがよくわかっていない場合は、さらに詳しく言葉と動作でルール説明することがあるよ。
レットが宣告されたら、選手はすぐにゲームが再開できるように準備を整えます。
審判は準備が整ったことを確認し、ポイントコールしてプレーを再開させます。
サーバーは審判のポイントコールを聞いてから、サーブを出してください。
レットかフォールトか
レットになるのか、フォールトになるのか、審判を一番悩ませるのはサービスのときです。
誰が見ても明らかな違反サービスは一発フォールトで相手のポイントになりますが、問題は、正しいサービスなのかどうか判断に迷うときです。
同じマッチにおいて、
- 1回目の疑わしいサービス:レットで注意
- 2回目の疑わしいサービス:フォールトで相手に1ポイント
正しいサービストスの上げ方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
小中学生といった子どもたちの大会の場合、2回目までレット、3回目からフォールトをとることがあります。
その場合、どうして今のサーブが違反なのかをわかりやすくルール説明をし、数球サービス練習をさせてからゲームを再開することもあります。
正しいサービスがどういうものなのか知らなければ、正しいサービスなんて出せないもんね。
まとめ
卓球の試合中、「レット」という言葉を耳にすることがありますが、その具体的な意味や適用方法を理解している人は案外少ないかもしれません。
レットはラリーの途中で特定の状況が発生した際に、そのラリーを無効にし、再度行うことを指します。
レットとは、試合中に公正性を保つために設けられたルールで、
- サーブがネットに触れてから相手コートに入った場合
- レシーバーが準備できていない場合
- 観客による妨害
などが主な状況です。
なぜレットになるのか、その理由がわかればよりスムーズに試合を進みます。
本記事が卓球の試合をより深く理解し、公平なプレー環境を保つための一助となれば幸いです。卓球の楽しさと奥深さを再発見してください。
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