キム・クムヨン(金琴英)選手は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)出身の左シェーク・裏粒異質攻守型プレーヤーです。
2024年のパリ五輪混合ダブルスで銀メダルを獲得し、同年のアジア選手権では女子シングルスで優勝。
世界のトップ選手たちを次々と破り、現在もっとも警戒されている選手の一人として注目を集めています。
しかし北朝鮮の選手は国際大会への出場機会が限られており、プレースタイルや戦術に関する情報が少ないのが実情です。
そのため各国選手は十分な対策が取れず、トップ選手であっても試合の主導権を握れないまま苦戦を強いられるケースが少なくありません。
本記事では、キム・クムヨン選手のプレースタイルを分析しながら、裏粒異質攻守型プレーヤーが参考にしたいポイントを紹介します。
キム・クムヨン選手の実績
北朝鮮代表として国際大会に出場する機会こそ多くありませんが、出場するたびに強烈なインパクトを残す選手です。
世界ランキング
| 部門 | ランキング | 部門 | 最高ランキング | 取得時期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| シニア | 2026年第6週 | 167 | シニア | 42 | 2025年第41週 |
| 混合ダブルス | 2026年第6週 | 74 |
国際大会にあまり出場しないため、実力に比べて世界ランキングが低く出やすいことも、北朝鮮選手の特徴です。
主な戦績
| 開催年 | 大会名 | 種目 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 2019 | アジア卓球選手権大会(ジュニア・カデット) | 女子シングルス | 準優勝 |
| 2024 | アジア卓球選手権大会 | 女子シングルス 混合ダブルス | 優勝 準優勝 |
| 2024 | パリオリンピック | 混合ダブルス | 準優勝 |
2024年パリオリンピック混合ダブルス
北朝鮮は国際大会にほとんど出場していないため、リ・ジョンシク(李鍾植)選手と組んだキム・クムヨン選手は第2シード(張本・早田ペア)の下に組まれることになります。
日本ペアはキム・クムヨンの粒高ラバーにまさかの苦戦。
北朝鮮ペアは日本ペアを破ると、第8シードのスウェーデンペア、第4シードの香港ペアをやぶり、決勝進出。
決勝で敗れたものの、北朝鮮としては8年ぶりのオリンピックメダルを獲得しました。
つぶまる張本・早田ペアが敗れるとは誰も思っていなかったので、衝撃的でしたね。しかも粒高ラバーに対応できなくて負けたって、驚き以外の何ものでもありません。
キム・クムヨン選手のプレースタイル
試合動画を見て分かる通り、キム・クムヨン選手は粒高を貼ったバックハンドの技術が非常に広いだけでなく、ミスが極端に少ない選手です。
異質ラバー特有の不安定さを感じさせない点が、最大の特徴と言えるでしょう。
高度な粒高バックハンド処理
キム選手はバック面に粒高ラバーを使用し、
- カットブロック
- ドライブ
- スマッシュ
といった技術を巧みに使い分けています。
球質の変化で相手を揺さぶり、甘く返球されたボールをすかさずスマッシュで狙い撃ち。
プレーに派手さはありませんが、そのスタイルは裏粒異質攻守型の王道的な戦い方です。
相手のドライブに対し、ブチギレのカットブロックで返したかと思えば、次のボールはミート打ちで打ち込んでくる。
この切り替えの早さは、相手にとって大きな負担になります。
- ブチギレの下回転がフワッと返って来るのか
- ナックル性の直線的なボールが返ってくるのか
と言ったことを、相手は常に判断しなければなりません。
キムのボールを返球するためにいつも以上に頭を使う必要があり、その結果、心身ともに疲弊していきます。



対戦相手の表情を見ると、いつもの試合とは違う脳みその使い方を強いられた疲労感がにじみ出ているね。
コンパクトなスイングのスマッシュとブロック
- バック面の変化で生み出したチャンスボールは、逃さずスマッシュ!
- 相手のスマッシュは、前陣でブロック
キム選手は前陣に張り付いたまま、コンパクトなスイングでスマッシュを放ちます。
同様に、相手の強打に対しても無駄のないコンパクトなフォームでブロックやカウンターで正確に返球しています。
さらに厄介なのが、フォアで返球するか、バックで返球するかによって球質が大きく変わる点です。
相手はどちらのラバーで打たれたのかを瞬時に判断し、次の返球を選択しなければなりません。
キムのボール自体に爆発的な球威はありません。
しかし溜めのほとんどないコンパクトなスイングによる早い打点は、相手に考える時間を与えず、試合の主導権を握る手段の一つ。



この時間を与えない卓球は、裏粒異質攻守型プレーヤとしてぜひ見習いたいポイントだね。
キム・クムヨン選手の使用用具
キム・クムヨンの使用用具については、公式に詳細が公表されているわけではありません。
以下の内容は、試合動画や写真などを拡大して確認できる範囲から判断しての考察です。
確証があるものではなく、また現在も同一用具を使用しているとは限らない点を、あらかじめご了承ください。
ラケット:バタフライ 努力 70th Anniversary
外観や構造から判断する限り、使用している可能性が高いと考えられるのが、株式会社タマスが創立70周年、ならびに創業者・田舛彦介氏の生誕100周年を記念して販売した限定モデル「努力 70th Anniversary」です。
千年杉のグリップと、木曽ヒノキの上板にアリレートカーボンを組合せたラケットで、
- 球持ちの良さ
- 打球感の明確さ
- 弾みすぎない安定感
を兼ね備えた設計が特徴です。
前陣でのブロック、カットブロック、スマッシュを多用するキム選手のプレースタイルと非常に相性のよい構成と言えます。
フォア面:バタフライ テナジー64
テナジーシリーズの中で、スピード性能を重視したテナジー64を使用していると見られます。
- 弧線が出すぎない
- 打点の早いスマッシュがしやすい
- 前陣でのミート打ちが安定する
といった特性は、キム選手の「チャンスボールを逃さない」プレーと合致します。



スピード重視のラバーを選んでいるとは、スマッシュ主戦型らしい選択ですね。
バック面:VICTAS Carl P1V
バック面には、粒高ラバーの定番とも言える Carl P1V 極薄を使用している可能性が高いと考えられます。
アマチュアからトップ選手まで、幅広い層に使用される人気の粒高ラバーで、
- 粒が高く変化が大きい
- 扱いが難しく、ミスが出やすい
という特徴を持つラバーです。
そのラバーを、カットブロック・ミート打ち・前陣処理までミスなく使いこなしている点は、キム選手の技術力の高さを如実に物語っています。



コントロールが難しい粒高ラバーを、あれだけ安定して操れるのは、さすがトップ選手!
VICTAS カール P1V OXの性能や扱い方については、以下の記事で詳しくレビューしています。



















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