ファビアン・オーケストロム（Fabian Åkerström）―バック粒高の男子選手

片面に粒高を貼った女子選手は多く見かけるものの、男子は多くありません。

多くはありませんが、中学や高校の地方大会レベルなら、片面に粒高を使用している男子はそこそこみかけます。

確かに、世界に目を向けても、日本のトッププレーヤーに目を向けても、活躍している男子選手はドライブ型が主流です。

しかし男子の異質攻守型のトッププレーヤーが全くいないわけではありません。

スウェーデンのファビアン・オーケストロム選手は、数少ない男子の異質使いの選手です。

オーケストロム選手の実績

1988年12月生まれの選手なので、もうピークは過ぎていますが、今なお現役でプレーしている選手です。

現在Halmstad BTKに所属。

世界ランキング

部門		ランキング	最高ランキング	取得時期
シニア	2024年第6週	－	165	2016年6月
			33	2009年6月
			22	2006年4月

オーケストロム選手のピークは2016年です。

その後、ケガに悩まされる時期もあり、2018年以降は目立った活躍はありません。

主な戦績

大会名	開催年	順位
ITTF ジュニア世界選手権大会	2005	3位
ITTF プロツアー・スウェーデン	2012	3位
スウェーデン選手権大会	2013	優勝

オーケストロム選手のプレー

オーケストロム選手は、カットマンとして卓球のキャリアをスタートさせました。

13歳のとき、コーチのすすめで粒高ラバーを使用するようになりました。

粒高スタイルが合っていたようで、それ以降、粒高ラバーを使用した独自スタイルを発展していくことになります。

若かりし頃の練習風景

粒高面でのカットブロックも、プッシュも、ひじょうに安定しています。

オーケストロム選手は、アンチ粒高を使用していました。

しかし、2008年にアンチ粒高ラバーは禁止されてしまいました。オーケストロム選手はプレースタイルの変更を余儀なくされました。

オーケストロム選手の動画をいろいろ見ていると、プレースタイルの試行錯誤していたことがわかります。この時期、なかなか勝てなくて悩んでいたようです。

• フォアはドライブ、バックは後ろに下がってカット
• 前に張り付いてスマッシュとブロックを多用

元々カットマンとしてキャリアをスタートさせているだけあって、後ろに下げられたときはカットで対応する場面が多く見られます。

最近の試合動画を見ると、バックはカットをメインに、フォアはブロックとスマッシュをメインにした戦い方をしています。フォアで攻撃するときの打球点が早いのも参考ポイント！

スウェーデンの若手注目株のモーレゴート選手とスウェーデンリーグで対戦しています

ラケットをとにかく反転

最近の試合動画をみると、ラケットは固定であまり回転させていません。

しかし昔の試合動画を見ると、ラケットを浅く握り、ラケットをとにかくよく回して相手を翻弄させている場面がよく見られます。

バック側に来たチャンスボールは、ラケットを反転させてバックハンドスマッシュ！

• 素早くラケットを反転
• 裏ソフトラバーと粒高ラバー両方の打法をマスター
• 今どちらの面で打っているのかを瞬時に判断

たまにどちらの面で打っているのかわからなくなって、ミスる場面もありますが、そこはご愛嬌……。

世界ランキング的にはオフチャロフの方が遥かに格上ですが、そのオフチャロフがオーケストロム選手の変化に翻弄されて、手こずっているのが分かります。

イライラするオフチャロフ。

• オフチャロフのドライブを台上でツーバウンドさせるほどのブロック
• オフチャロフがネットに引っ掛けるほど回転量のあるカットブロック

パワーやスピードで勝負する男子卓球の中に魅せるトリッキーなプレーは、見ていて楽しいです。

オーケストロム選手の使用用具

数年前に使用ラバーを変更したようです。

ラケット：Donic パーソン パワープレイ

7枚合板のラケットで、コントロールとスピードに定評があるラケットです。

フォア面：VICTAS V-15 エクストラ

ピッチフォード選手や丹羽孝希選手など、使用している選手が多い人気のテンション系ラバー。

バック面：Metal TT Rubber Death（0.5m）

粒は固めですが、意外と扱いやすいラバー。

たまに楽天市場で扱っているショップがあります。